「…そのジャラジャラしたのどうにかなんねぇの、」
「ストラップのこと?」
鈴、テディベア、パンダ、クリーナー、なんだかよくわからないご当地ストラップやキラキラした球のたくさん付いた紐、イニシャルの彫られたメタル、エトセトラエトセトラ。
帝愛の御曹司兵藤和也の携帯電話は、実にごちゃごちゃとしているのである。
「そんなにつけてる意味あんのかよ」
「いやほとんど女から貰ったいらないヤツなんだけどさ、わざわざ外すのもめんどくせーじゃん」
─なるほど、だからこいつに似合わない可愛いぬいぐるみが付いているわけか。
そう思って改めて見てみると、携帯よりも明らかにストラップの方が重そうに見えた。
邪魔そうだし、何より女に貰ったというのが気に食わない。そう思ったカイジは乱暴に携帯をひったくった。
「いらないの外してやるから」
「マジ?ありがと!
んー、俺の買ったヤツしかいらねーかな」
「自分で買ったのどれだよ。このイニシャルのか?」
「違う違う、テディベア」
テディベア?
和也の言うテディベアとはなんだろうか。
この、茶色い肌触りの良い生地に愛らしいクリクリの目のついている、首にリボンの結ばれた熊のことではないはずだ。絶対。絶対に。
冷や汗をかきながら悩むカイジに気付かず、彼は更に言い放つ。
「俺テディベア好きなんだよな。そのストラップ、一目惚れ!」
そう言ってにっこりと笑った和也の指先には、茶色い肌触りの良い生地に愛らしいクリクリの目のついている、首にリボンの結ばれた熊がいた。
「……………おー、テディベア、な」
「どしたのカイジ?」
『それはねーよ!』カイジは喉元まで出かかった言葉を飲み込み、絡み合ったストラップを外す作業に集中するのだった。
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拍手ありがとうございました!
テディベア好きな和也も可愛いと思うんです(笑