「ねえヒソカ!」

大きなソファにゆったりと座るヒソカに、同じように隣に腰掛けていたゴンが声を掛ける。
特に観ていた訳でもないテレビを消しながら視線を隣にむけたヒソカ。しかし、声を発した少年の視線はズレていた。目の高さよりも少し、上に。


「染める前は何色だったの?」

「染める前?」


ああ、地毛は何色かってことか、とすぐに理解したが、この奇術師が素直に教える筈もなく。


「さあねえ◇忘れちゃった◆」


そしてまた、この少年も素直に諦める筈もなく。


「ええー本当は覚えてるんでしょ!?」


一度こうなってしまえば、お互い頑固に譲らないのはいつも通りのことである。
黒?茶色?もしかして金とか?と、どんどん羅列される色を適当に躱すヒソカは、そうすることでますます必死になるゴンが可愛くて仕方なかった。

しかし、教える気のないことを何度も訊かれるのはやはり面倒なものである。そこで、彼は唐突に話題を相手に逸らした。


「ゴンはそのままが一番似合ってると思うよ◆」

「え?本当?ありがとう!
ねえ、ヒソカは黒くしないの?」


単純なゴンが質問攻めをやめたのは勿論予想通りだったが、この返しは少し意外だった。


「うーん……ボクに黒髪は似合わないと思うけど◇それに派手な色が好きだから、黒にはしないね◆」

「でも、黒くすれば俺とお揃いになるじゃん!……なんてね」


ヒソカは照れ笑いをする彼の頭を撫で、啄ばむようなキスをする。それに一生懸命応えるゴン。何の話をしていたかなど最早どうでもいいことで、後はただ甘い時間に身を委ねるだけだった。




後日、髪を真っ黒に染めたヒソカがゴンの前に現れることになるのは、また別のお話。




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