「なぁ、俺のこと好き?」
「いちいちそんなこと言わせんなっ!」
俺の言うことを聞かない人間がいるなんて考えもしなかった。
今まで出会ったどんな女も揃って愛を囁いたし、どんな男も機嫌を損ねないようにとご機嫌とり。
チヤホヤチヤホヤ、鬱陶しいことこの上ない。まさに濃霧だ。
でもそれは当然。だって俺は兵藤和尊の息子だから!
でもこいつは違う。
「そ、そんなくっつくなよ馬鹿!」
「いいじゃん、恥ずかしがるなよ」
俺のこと好きなクセに素直にならない、罵倒と暴力なんて当たり前。
そんな恋人が出来た。
「やっぱ面白い奴だな、カイジって」
「…なんだよ急に」
「んー?こっちの話」
そんなカイジが好きだ。こういう空気が心地いい。
でもさ、たまには素直になってみろよ。
…俺を愛してるって言ってみて?
未体験ゾーン