「……ヒソカ、あのね、」



──あんなに愛しかった筈なのに。





「俺、修行しに行くんだ。どうしても勝たなきゃいけないヤツがいるから…」



あぁ、それはこの間聞いた『蟻』のことかな?僕は正直、興味ないけど。



「だからさ、俺が強くなるまで待ってて!修行が終わったらまた一緒にいよう!」



やっぱり。
ゴンは不器用だから、修行と普段の生活の両立なんて出来ないんだろうね。



でも、せっかく恋人同士になったのにな。



「ごめんね、ヒソカ…。ダメかな…?」

「んー…わかったよ◆待ってる◇」



嫌だと言う筈が、何故かそう言っていた。すると、ゴンの顔が一気に明るくなる。



「ありがとう!すぐに会いに来るから!」

「…うん、行ってらっしゃい◇頑張ってね◆」

「ヒソカ?ねぇ、ホントは嫌だったり…」

「平気だよ◇」



そんな風に強がってみたりして。こんな時に限って素直になれない。



ねぇ、行かないで。強くならないで。
だって成長したゴンを見たら、きっと殺してしまうから。



そんなの嫌な筈なのに。



どうして僕の指先は、
君の手を掴めなかったんだろう?



(引き止められなかった理由は1つ。
僕は再び、君を『青い果実』として見てしまったから)


きっともう、僕らは戻れない。


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