「じゃあね、イルミ。また連絡するよ」
「ん、わかった」
イルミはそう言って部屋を出る。ヒソカと仕事の話をする、ということで、わざわざヒソカとゴンの滞在しているホテルまで来ていたのだ。
「お待たせ◇」
「…うん…」
「?怒ってるの?」
「べ、別に怒ってなんかないよ!」
ヒソカとそんなやり取りをしているのは、イルミが来ている間大人しく待っていたゴンだ。
本人は怒っていないと言い張るが、その顔は不機嫌丸出し。ヒソカがその表情に気付かない筈がなかった。
「嘘だね◇」
「う…っ」
「ゴン◆嘘を吐くなんて酷いじゃないか◇」
自分が普段とんでもない嘘吐きなことは棚に上げて言い放つ。すると、ゴンは諦めて白状した。
「だってヒソカが悪いんだよ!イルミとばっかり喋ってるから!」
声を荒げて言われた言葉に、ヒソカは僅かに期待する。
「…もしかして、嫉妬してくれてるのかい?」
ゴンは一瞬しまった、という顔をしたが、開き直って言ってしまうことにしたようだ。
「…うん。
ヒソカは仕事のこと話してるだけなんだから怒っちゃいけないんだろうけど、でも…でも、イヤなんだ!」
「くっくっく◇可愛いね、ゴンは◆」
「…ごめんね、ワガママ言って」
しゅんとしてうなだれるゴンに、愛しさが込み上げる。
「ううん、嬉しいよ◇」
「ん、そっか…」
「顔赤い◆」
「もうっからかわないでよ!」
「…本当、可愛いなァ◇」
僕ってちゃんと愛されているんだ。
そう改めて実感したヒソカは、幸せそうにゴンを抱き寄せたのだった。