天空闘技場のロビー。そこにあるソファーに座るのは、死神と恐れられるヒソカだ。
しかし珍しくノーメイクで普通の格好をしているため、『あの』ヒソカであると気付く人は殆どいない。
「あれ?ヒソカなに読んでるの?」
それにも関わらずしっかり判別したのは、黒髪の少年、ゴンだ。
「あぁ、ゴンか◆恋愛小説だよ◇」
「え、ヒソカってそういうの読むの?」
そう言って意外そうに目を見開いた。
「可笑しいかい?」
「ううん、そんなことないけど…。ちょっと意外かも」
「ふぅん◆そうかな◇」
喋りながら隣にゴンが座る。
普段のヒソカなら違和感があり過ぎる光景だが、今日は画になるような様だ。
「だってヒソカ、恋愛とかより戦うの好きそうだしさ」
「まぁね◇」
「でしょ?だからだよ」
「なるほど◆でもね、」
ヒソカは本を置いてゴンに顔を近付けた。
「なに?」
「僕は君になら恋できるよ◇」
きっぱりと言い切られたその言葉に、ゴンはきょとんとして動かない。
しかし暫くすると、
「あははっヒソカ面白いね!」
冗談だと思い笑い出してしまった。
「…今のは笑うところじゃないんだけどなァ◆」
想像以上に鈍感なゴンに苦笑するヒソカ。…この少年に気持ちを知ってもらうには、直球勝負でいくしかないようだった。