可愛い子と過保護(2/2)

「真田!?久しいな!」
わあ、何でこの男はめげないのか。
殴られ飛ばされ強かに地に打ち付けたというにナニユエ笑みのままなのだ!ぬしはマゾヒストか!
「おお!徳川殿でござったか!某てっきり石田殿に仇なす不届き者かと思い、つい拳を振るってしまいました」
「思いっきりワシの名を叫んでいなかったか!?…まあ、いいか。真田、三成をこっちに寄越してくれないか」
もはや疑問系ですらなかったワ。
最近すっかり黒さを増した徳川の笑みに三成の顔が蒼褪めて、
「うわああ!幸村ッ助けてくれッ」
そして真田に泣きつきおった。真田の腰をがっちりホールド。
「三成、この男は俺がきっちりと締めておくから安心しろ」
「ワシの扱いが酷くないか!?それに真田、口調が…」
ニヤリと邪悪な笑みを浮かべた真田を止める術は(多分)もう無い。

にこにこと真田と徳川の戯れを見ている猿飛。真田には未だに三成がへばり付いておる。
「猿飛…良いのか?」
「え?何が?」
猿飛が浮かべた笑みの意味合いが分かりかね、思わずこそりと問い掛けた。
場合によっちゃ<急くな>で三成連れて逃げねばならぬ……胃が痛い。
「…三成が」
「?…ああ!そーゆう事ね!…んー何でだろ。三成だったら幸村にああやって引っ付いていても平気なんだよね」
「嫉妬しいのぬしにしては珍しいナ」
イヤ、本当に。
三成には肋の二、三本…どころか第一肋骨〜第十二肋骨まで全部折る覚悟をしてもらわねばならぬと思うていたのだが。
「(まったくです。何時もなら半殺し…むしろ再起不能になるまで追い込みますよね?)」
「ちょっとコタ!俺そこまでじゃないよ!?……多分さ、あの人が子供みたいだからかな。微笑ましいって感じて、それで終わり」
「…さよか…ウム…それならヨイのだ」
だが前世年齢もあるのに子供みたいって言われるアヤツって…。深く考えちゃいかんナ。
マ、とりあえずは三成が抹殺されなさそうで良かった。
ふう、と胸を撫で下ろしていると猿飛と風魔が生温い感じの目を向けてきていた(風魔はそれっぽいと思っただけだが)。
えー何よ。
「大谷さんってさ…過保護ってよく言われるでしょ?」
とても心外です。


「何を楽しそうに話していたんだ?」
「あ!幸村!……あのね大谷さんが過保護だー…って話」
「ああ。確かに大谷殿は過保護だな」
「(過保護です)」
「何?貴様過保護だったのか?……海神の巫女にか?」
ちくしょう、三成殴りてぇ。

(2/2)
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