悪く無い(2/2)

「…さて、先程の続きだが…。家康をどう斬滅するかだ」

「やっぱり、アレじゃねぇか?皆で痛め付けて、海に沈めるってのはどうだ?」

長曾我部は腕を組みながら、言う。

「貴様は阿呆か…」

「あ゛ぁ゛ん?じゃあ、毛利。アンタは何か策があんのかよ…」

毛利の阿呆と言う言葉に、長曾我部は毛利を睨んだ。

「フン…。我の策は日輪に家康を捧げるのだ」

「ハッ!アンタの方が、馬鹿じゃねーのか。日輪で焦がすだぁ…?
そん時、お日さんが出てなかったら意味ねぇーじゃねーか」

「黙れ!日輪と我を侮辱する等、許される事では無い!」

「ハッ!人の事を馬鹿にするからだろうが!!」

…また始まったか。
何故こう何時も、言い争う…。
この二人は放っておくとするか…。

「やはり、殴り愛で徳川殿を…」

「真田、貴様は何故直ぐに殴り合いに行く…」

真田の意見に、私はため息を漏らした。

「殴り愛で徳川殿も、降参してくれるかと思いまして!」

「降参させてどうする!?家康は斬滅するのだぞ!」

私は刑部の意見も欲しく、刑部を見たが…。

「ぎょ、刑部!小生が何をしたと言うんだ!」

「ナニ、主は何もしておらぬが主の顔を見ると、どうしてもなぁ…」

「何故じゃぁあぁあぁあぁあ!!」

官兵衛に数珠を当て、遊んでいた。
何故西軍は、まともな奴が居ないのだ…!

私は頭を抱えた。
その時――――。

「はいはーい。お茶とついでに団子持って来ましたよ〜」

障子を開け、猿飛が入って来た。
猿飛の声により、皆ピタリと止まった。

皆それぞれ茶を取っているので、私も取ろうとした時―――。

『あ、三成様は此方です』

「?あぁ…」

私は不思議に思いながらも、壱矢から茶を受け取った。
皆がそれぞれ茶を飲んでいるので、私も飲んだ。

「!」

茶を飲んだ瞬間、口の中にフワッと甘い味が広がった。

私は壱矢を見た。
すると壱矢は、微笑んだ。

『疲れてる時は、少しでも甘い物を取ると良いんだよ。無理だけはしないでね…三成』


「!あぁ…」

全く…貴様は本当に読めないな…。
だが、これも悪く無いな…。

「壱矢。茶のおかわりをくれ」

『はいはい』




end.

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