※【狂想曲】元就成り代わり主=元就・凪沙(固定)
※【雷豪苛烈】石田夫婦=石田壱矢&石田みつ(固定)
※豊臣時代
「みつに凪沙、こんなところにいたのか」
「…何だ、騒々しい」
『こんにちは、壱矢さん』
ある日の大阪城、
空は快晴で戦の無い平和な午後のこと。
半兵衛さんから書庫の整頓を頼まれた僕とおみつさんが作業をしていると、壱矢さんがやって来た。
その手には何故か三人分のお茶菓子の載ったお盆が。
「いやなに、そろそろ八つ時だから茶菓子でも食べて休憩をと思ってな」
小皿の上に載っている小さな和菓子は、色彩、形ともに美しく食べるのが勿体無いくらいに見える。
きっと高級なものに違いない。
「もう少しで終わる。後にしろ」
「ちなみにこの和菓子は半兵衛が直々に買ったやつらしいぞ」
「……茶を淹れてくる」
そう言っておみつさんが書庫から出ていった直後、壱矢さんがニヤリと笑いながら僕に耳打ちした。
「ああでも言わないと、みつは聞かないからな」
*
「うむ…美味い!」
「半兵衛様が選んでくださった和菓子が不味いはずがない」
『……(モグモグ』
僕はお茶菓子を食べながら壱矢さんとおみつさんのやり取りを眺めていた。
彼らが言うとおり、この和菓子はすごく美味しい。
おみつさんが淹れてくれたお茶にも良く合っている。
「どうだ凪沙、美味いだろ?」
『うん』
「だよな!」
言いながら壱矢さんは僕の頭を荒っぽく撫でた。
多少髪はボサボサにはなるけど、彼に頭を撫でられるのは嫌いじゃない。
「凪沙、こっちに来い」
『?』
呼ばれるがままにおみつさんのところへ行くと、その場に座らされて前を向かされた。
どうやらおみつさんは髪をとかしてくれるらしい。
「壱矢、貴様はもう少しまともな撫で方はできないのか?」
「いまいち力加減がわからなくてな」
「すまん、すまん」と笑う壱矢さんに呆れたようにため息をつくおみつさん。
それが何故だか妙におかしくて、ついつい笑ってしまう。
『壱矢さんとおみつさんって、いいお父さんとお母さんになりそうだよね』
「む?」
「なっ…」
無意識にこぼれた言葉に、壱矢さんの笑い声とおみつさんの手が止まった。
あれ?
何か変なこと言ったっけ。