2014st.V

「刑部、ん」
「……何ぞこの手は」
「菓子を寄越せ」
「ハテ、ぬしの頭は三つ月程遅れておるようよナ…今日ははろうぃんではないぞ」
「んなこたぁー知っているッ馬鹿たれ!」
「なんと!知っておったのか。驚きに肋が口から出かかった」
「ひ、人をおちょくるのも大概にしろ……話が進まんだろう」
「…ム」
「んで、今日はバレンタインだぞ。楽しいバレンタインだぞ!」
「二度言わずともヨイ。聖人の命日がそんなに楽しいか」
「目ぇかっ開いて嫌な言い方をするな」
「ふう…マ、冗談はサテ置いて」
「貴様は何が冗談で何が本気か分からん……」
「菓子が欲しいか」
「欲しい」
「なれば金子をやろ。町で買うて来るがヨイ」
「うわあ現ナマぁ……もう少しどうにかならなかったのか」
「スマヌナ、出掛ける気が消え失せたのよ。行く気はあったのだがナ、イヤ本当よ?しかし我の冬支度(※武器)が行ってくれるなと引き止めおって……」
「貴様の怠惰が気に障る。まあいい、買ってくればいいのだな」
「無論、」
「貴様の分も、だろ?」
「おお、よう分かった」
「フン…何年共に居ると思っている」
「ヒヒ……サテ、十や二十では利かぬようよナァ」

(如月の寒い日)


「我はちょこがけ柿の種は好かぬユエ買うでないぞ」
「そもそも売ってない」

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