ジャンク | ナノ
 恋愛の話



「テッちゃん、おまたせ」
「あ、リツカさん。会えてよかった」
「待ったでしょ?ごめんね」
「いや、ぜんぜんそんなことないです。気にしないでください。…じゃあ、行きましょうか」
「うん。あの、大通りの裏のとこのビルよね?」
「ええ、安田さんたちはもう着いてるそうです」
「この辺は夜中でも人でいっぱいね」
「むしろ夜のほうが多いですよ」
「ね、さっき駅前で私を待ってるとき、女の子の2人組に声かけられてたでしょ。見ちゃった」
「…あ、あれは違うんです、そんなんじゃなくて…」
「ふーん?知り合い?」
「いや、全くの初対面でしたけど…」
「なに言われたの?」
「……いっしょにクラブに行かないかって」
「なんだ、やっぱり逆ナンじゃない。テッちゃん、モテるのね」
「そ、そんなことないですよ」
「クラブ、行けばよかったのに」
「仕事ほっぽって?行くわけないじゃないですか」
「マジメね」
「巽さんとかと一緒にしないでくださいよ」
「ねぇ、そういえばテッちゃんって彼女いるの?」
「…いないです」
「あら、そうなの?作ればいいのに」
「欲しいなって思わないわけじゃないんですけど、今はちょっと忙しいんで」
「そう」
「…あの、リツカさんは…?」
「ん?私?」
「えっと、その、彼氏とかは」
「いないよ」
「そう…ですか。リツカさんこそモテそうなのに」
「そんなことないよ。仕事が仕事だから、いろいろと難しいし。それにやっぱり私も忙しいから」
「そうですよねぇ」
「銀さんったら人使い荒いんだもの、恋だの愛だのやってるヒマないわ。そのせいだか知らないけど、最近はなんだかそういうことに対しての関心も低くなってきたような気もするし」
「…それは、もったいない…ですよ」
「それ、どういう意味?」
「あ、いやその、仕事ばっかりで恋愛なしっていうのは何て言うか、やっぱり、もったいないです。リツカさんはこんなにキレイなのに」
「ふふふ、ありがと。お世辞でも嬉しいわ」
「お世辞じゃないですよ」
「あーあ、でも確かにこのままじゃ婚期のがしちゃうよねぇ」
「そんな…」
「一生独身ってのはちょっとなぁ。でも、相手もいないし」
「………それ、なら、」

(オレがリツカさんを貰いますよ)

「ん?なに?」
「…いや…、すいません、なんでもないです」
「あ、あそこのビルよね」
「はい」
「今日も徹夜かなぁ」



(なんて、そんなこと言えるわけない!)





back

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -