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ここの監禁生活での俺は、全て仁王が中心になっている。
目を覚ませば、仁王がいる。
仁王が俺の世話をしてくれる。
視界には仁王しか、いない。
俺の世界は、仁王だけのものになっている。
・・・俺の意思とは裏腹に・・・。
ここの小さな部屋は、まるで鳥かごで、世界は仁王で回っている。
俺は籠に入れられた鳥で、仁王は俺の飼い主だ。
活かすも殺すも、この籠から出すのも仁王次第なのだ。
「仁王」
「はい」
あいも変わらず、今日も俺を背後から抱きしめながら返事を返す仁王。
どうやら、この格好がお気に入りらしい。
ベッドで男を抱きしめている男の姿・・・なんて、第三者から見たらどう思われるだろう。
ここには俺と仁王しかいないけどさ・・・。
普通男同士で可笑しいって思うかもしれない。
だけど・・・、この生活も慣れてくれば、その可笑しさ≠燻クってしまう。
ここは仁王の世界だから・・・―。
「仁王ってさ・・」
「はい」
「楽しいか」
「は?」
「この生活」
俺を監禁してここに閉じ込めて。ひたすら、セックスして。
仁王は、本当にこの生活が楽しいんだろうか。
青少年として、あるまじき姿じゃないだろうか。
セックスして、飯食べて、またセックス、なんて。
このままの生活をしていたら、きっと堕落する自信がある。
むしろ、仁王との生活で後ろを開発されてしまった俺は、もう普通のセックスじゃ満足できないかもしんない。こんなことになって、女の人とセックスできるんだろうか。
なんのために、こんなことを?嫌がらせか?
この監禁になにか意味はあるのか・・・?
意味がある、行為なのか・・・?
「楽しいですよ・・・とても」
仁王は俺の腹に手を回し、首筋に舌を這わせる。
「こうして、先輩を自由にできるから」
至極ご満悦な仁王。
仁王が俺を自由にできるのに反して、俺の自由は仁王に奪われている。
「俺のこと、もっと先輩が考えてくれればいいなって、思ってます」
仁王の、ことを・・・?
「俺だけの人になればいいなって・・・、」
「仁王・・・?」
「そんな・・・ふうに、思ってしまいます、すいません、先輩」
「仁王、」
「悪いことしたってわかってます。それでも俺は、先輩を自由にはできない」
仁王はそう言って、一つ俺の頬にキスをした。
監禁されて、セックスされる。
それが、俺の日常になっていく。
監禁されて・・・どれくらいたっただろう。
慣らされた、と思う。この数日で。
仁王に。
ココロも、体も。
男同士で、セックスなんておかしいと思うのに。
仁王と二人、部屋に監禁されていたら、なにが正しいかなんてわからなくなってしまった。
―慣らされた。そして、流された。
けして受け入れることはできないけれど。
拒否するという選択肢も、いつの間にか俺の中で消えていた。
この世界は、仁王中心だから。
仁王が全てだから。
正しいことも、間違っているということも、仁王次第だから。
そろそろ外から聞こえる虫の音が夏の終わりのものになったから、この監禁生活ももうすぐ終わりだと思う。
仁王は今日も俺を抱いて・・・、情事後、俺を後ろから大きな人形のように抱きかかえたまま首筋に顔を埋めていた。
なにも、喋らずに。
悲しげで、泣きそうな仁王。
どこか頼りなげなその姿に、なにかあったのか?とこんな状態なのに聞いてみたくなる。
仁王。
監禁してからずっと、俺のそばにいる、仁王。
だけど、考えてみれば俺は仁王のこと、なにも知らない。
何が好きなのかも、何が嫌いなのかも。
何故、こんなこと、したのかも。
なにも、知らないのだ。
俺は。
仁王は俺を慕い、よく俺のことを尋ねていたというのに。
俺は、何も仁王のこと、知らないのだ。
「仁王」
「はい・・・?」
「友達と、なにかあったのか・・・?」
尋ねると、仁王は眉を寄せる。
「友達?なにもありませんよ・・・」
友達関係じゃないのか。
じゃあ、なんで気落ちしてる・・・?
なにが仁王をこんな状態にしているんだ・・・?
わからない。
ずっと、仁王に監禁されているのに。
監禁、されてるのにな・・・。
そういえば、監禁される前日、俺仁王に告白されたんだよな・・・。
だけど、その告白は後輩に見られてて・・・。
あれから、仁王、後輩たちとどうなったんだろう。
俺に告白してみんなでからかうっていうミッション、破れちゃったわけだしなぁ。
「仁王」
「はい」
「あのー、あ、菊池とか、元気か?仲良くやってるか」
菊池っていうのは、同じ部活の後輩。
仁王のクラスメートだ。
明るくバカやってるやつ。
「はぁ?」
「はぁってなんだよ、はぁって」
「なんですか、いきなり菊池って」
「いや、いきなりじゃなくって・・・。」
なんで、菊池の名前を口にしただけでそんなに怒っているんだ。
やっぱり菊池となにかあったのか・・・。
目を覚ませば、仁王がいる。
仁王が俺の世話をしてくれる。
視界には仁王しか、いない。
俺の世界は、仁王だけのものになっている。
・・・俺の意思とは裏腹に・・・。
ここの小さな部屋は、まるで鳥かごで、世界は仁王で回っている。
俺は籠に入れられた鳥で、仁王は俺の飼い主だ。
活かすも殺すも、この籠から出すのも仁王次第なのだ。
「仁王」
「はい」
あいも変わらず、今日も俺を背後から抱きしめながら返事を返す仁王。
どうやら、この格好がお気に入りらしい。
ベッドで男を抱きしめている男の姿・・・なんて、第三者から見たらどう思われるだろう。
ここには俺と仁王しかいないけどさ・・・。
普通男同士で可笑しいって思うかもしれない。
だけど・・・、この生活も慣れてくれば、その可笑しさ≠燻クってしまう。
ここは仁王の世界だから・・・―。
「仁王ってさ・・」
「はい」
「楽しいか」
「は?」
「この生活」
俺を監禁してここに閉じ込めて。ひたすら、セックスして。
仁王は、本当にこの生活が楽しいんだろうか。
青少年として、あるまじき姿じゃないだろうか。
セックスして、飯食べて、またセックス、なんて。
このままの生活をしていたら、きっと堕落する自信がある。
むしろ、仁王との生活で後ろを開発されてしまった俺は、もう普通のセックスじゃ満足できないかもしんない。こんなことになって、女の人とセックスできるんだろうか。
なんのために、こんなことを?嫌がらせか?
この監禁になにか意味はあるのか・・・?
意味がある、行為なのか・・・?
「楽しいですよ・・・とても」
仁王は俺の腹に手を回し、首筋に舌を這わせる。
「こうして、先輩を自由にできるから」
至極ご満悦な仁王。
仁王が俺を自由にできるのに反して、俺の自由は仁王に奪われている。
「俺のこと、もっと先輩が考えてくれればいいなって、思ってます」
仁王の、ことを・・・?
「俺だけの人になればいいなって・・・、」
「仁王・・・?」
「そんな・・・ふうに、思ってしまいます、すいません、先輩」
「仁王、」
「悪いことしたってわかってます。それでも俺は、先輩を自由にはできない」
仁王はそう言って、一つ俺の頬にキスをした。
監禁されて、セックスされる。
それが、俺の日常になっていく。
監禁されて・・・どれくらいたっただろう。
慣らされた、と思う。この数日で。
仁王に。
ココロも、体も。
男同士で、セックスなんておかしいと思うのに。
仁王と二人、部屋に監禁されていたら、なにが正しいかなんてわからなくなってしまった。
―慣らされた。そして、流された。
けして受け入れることはできないけれど。
拒否するという選択肢も、いつの間にか俺の中で消えていた。
この世界は、仁王中心だから。
仁王が全てだから。
正しいことも、間違っているということも、仁王次第だから。
そろそろ外から聞こえる虫の音が夏の終わりのものになったから、この監禁生活ももうすぐ終わりだと思う。
仁王は今日も俺を抱いて・・・、情事後、俺を後ろから大きな人形のように抱きかかえたまま首筋に顔を埋めていた。
なにも、喋らずに。
悲しげで、泣きそうな仁王。
どこか頼りなげなその姿に、なにかあったのか?とこんな状態なのに聞いてみたくなる。
仁王。
監禁してからずっと、俺のそばにいる、仁王。
だけど、考えてみれば俺は仁王のこと、なにも知らない。
何が好きなのかも、何が嫌いなのかも。
何故、こんなこと、したのかも。
なにも、知らないのだ。
俺は。
仁王は俺を慕い、よく俺のことを尋ねていたというのに。
俺は、何も仁王のこと、知らないのだ。
「仁王」
「はい・・・?」
「友達と、なにかあったのか・・・?」
尋ねると、仁王は眉を寄せる。
「友達?なにもありませんよ・・・」
友達関係じゃないのか。
じゃあ、なんで気落ちしてる・・・?
なにが仁王をこんな状態にしているんだ・・・?
わからない。
ずっと、仁王に監禁されているのに。
監禁、されてるのにな・・・。
そういえば、監禁される前日、俺仁王に告白されたんだよな・・・。
だけど、その告白は後輩に見られてて・・・。
あれから、仁王、後輩たちとどうなったんだろう。
俺に告白してみんなでからかうっていうミッション、破れちゃったわけだしなぁ。
「仁王」
「はい」
「あのー、あ、菊池とか、元気か?仲良くやってるか」
菊池っていうのは、同じ部活の後輩。
仁王のクラスメートだ。
明るくバカやってるやつ。
「はぁ?」
「はぁってなんだよ、はぁって」
「なんですか、いきなり菊池って」
「いや、いきなりじゃなくって・・・。」
なんで、菊池の名前を口にしただけでそんなに怒っているんだ。
やっぱり菊池となにかあったのか・・・。