短編 | ナノ


「先輩…これ、どういうことですか…?」

襲われた二日後、恐ろしいほど怖い顔をした彼に手を引かれ、空き部屋に連れていかれました。
本当は、無理やり引き裂かれた身体が辛くて、学校にも行くのがきつい状態だったのですが、2日前の事で僕を襲った男たちが朔夜君に接触してしまうのが怖かったのです。

僕を無理やり抱いた彼らが、このまま大人しくしているとは思えませんでした。
だって、言っていたのです。

『いい身体だった。また抱いてやるからな』と。

あんなこと、朔夜君にはばれたくありません。
だから、出来るならかくしておきたかったのに。なんとしても隠しておきたかったのに。


「これ、先輩ですよね…」
「…っ!」

彼が手にしていたのは…携帯。それも、僕が痴態を繰り広げた…強姦されたものでした。いつの間に取っていたのでしょう。
いつの間に、彼に。
いつ彼らは接触したというのでしょうか。

強姦されたことはばれたくはないけれど、いつか、話さなくてはいけないと思いました。
でも、こんな…こんな形で知られるなんて思っていませんでした。こんな写真という最悪な形で…。

何故、知られてしまった…?

ばくばくと、心臓が嫌な音をたてます。
きっと、今僕は顔面蒼白でしょう。

嫌な汗が手の平からぶわっと湧き出てきます。僕は震える手をぎゅ、と握りながら、口を開きました。


「それ…は…」
「なにが…なにが、あったんですか。先輩は、先輩に…」
「ぼく…は…」
「これ、俺の友達が回してきたんです。先輩が誘ってきたから、って。お前は騙されているって。先輩は、本当は淫乱で、誰にでも抱かれるようなやつだって」

朔夜君の、友達…が…。
友達、が…僕が誘ったと、嘘をついたの?
僕は誘ってなんか、ないのに。
襲われたのに。


「そんな…」
「先輩は、あいつを誘ったんですか…?」

窺うような、縋る様な朔夜君の視線。
違うといってくれ、そういっているようにも見えました。


「先輩は、あいつがいうように誰でも誘う、淫乱なんですか…」
「僕は…」

違う、違う、違う。
僕は…

「僕は…淫乱なんかじゃ…」

淫乱なんかじゃない。淫乱なんかじゃ…。

淫乱じゃない。

本当に?

もう一人の僕が僕に聞く。

本当に、僕は淫乱じゃない?

写真の中の僕は、無理やり貫かれているにも関わらず、涙を流しながらとても妖艶に誘う娼婦の顔をしていました。
まるで、僕が好きの込んでいるかのような、そんな顔だったのです。


無理やり抱かれて、無理やり引き裂いて、でも…感じてしまった。
初めてなのに、あんなに達してしまった。勃起だってした。

僕は、本当に淫乱じゃないんでしょうか?本当は淫乱じゃないんでしょうか。
あんなにあえいでしまった僕は、好きでもない男を受け入れてしまった僕は、本当に淫乱じゃない…?

本当に…?
僕は…、
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