短編 | ナノ

ロボットの幸せは主人の幸せ。
ロボットの不幸は主人の不幸。


健気なロボットのその生き方は、人間をさらに傲慢にそして強欲にしていったのだろう。

通常、ロボットには感情などないはずなのに、泣いたロボットを見た、という人が後を絶たない。
今は様々なロボットが出ているが、原因不明のまま壊れるロボットも多数いた。

ロボットなしでは人間は生きられない。

人間がなくてはロボットは生きられない。

二つの因果関係。


 僕はロボットが好きだったし、ロボットを弄るのも好きだった。
将来はロボット関連の研究者にもなりたかった。
だからこそ、僕専用のロボットが欲しかった。
もっともっと、ロボットに携わりたかったのだ。


 僕が欲しがっていたロボットは、ある日突然やってくる。

その日は、珍しく父が家にいる日だった。僕が中学生くらいの時だろうか。
僕の父は、軍隊に所属しており、いつも戦地を飛び回っている。家にいるのは数回ほどだ。
父の階級はわりと、上の方らしく、休みなんかはほとんどなく、家族サービスなんかもない。
はたして僕と父は親子なんだろうか?と思う事もしばしばだ。

父は強靭な男で、頭よりも先に体が動く様な、いかにも動くのが好きな男だが、僕はそんな父に対し考えるのが好きな人間で動くよりも本を読んでいるのが好きな人間だった。


父は僕を居間へ呼び、突然プレゼントだ、と居間に置かれたアンドロイドを指差した。
アンドロイドは、壁にもたれかかり、静かに目を閉じている。
綺麗な黒髪の…アンドロイド。
長い腰までの黒髪は、カラスガイより黒く、光沢がある。


「僕に…?」
「あぁ、お前に。男のアンドロイドだ」

男…。
実際、僕も男である。
やっぱり世話をしてくれるなら女のアンドロイドが良かったな…と一瞬考えたが、夢だった僕専用のロボットが手に入ったのだ。そう我が儘も言えない。
アンドロイドは女も男も凄く高いのだ。
これが、セクサスアンドロイドなんかだと、その性質によっては眼を覆うような金額にもなる。

性的なことに興味がないわけではないが、さすがに父に言うまでしてセクサスロイドは欲しくなかった。

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