作品 | ナノ
『あんな女のどこが良いのよ』
目の前のテレビに映っている最近人気の女優を見ながら手元にあったペットボトルを手に取り喉を潤す。あんなにととのった顔なら人生きっとイージーモードなんだろうとどうでもいいことを考えながら隣で裸で寝転んでいる荒北に目をやった。

「さっさと服着れば?風邪引くよ」
「もう少し余韻に浸ってもいいじゃナイ?名前ちゃんは冷たいね」
「部屋に入った途端に盛ったあんたがそんな事言っちゃう?」

俺も人のこと言えないか等と笑いながら起き上がった荒北に先程自分が飲んでいたミネラルウォーターを渡す。ありがとうと受け取りゴクゴクと喉を鳴らしながら水を飲む荒北を見て、その姿についつい見惚れてしまう。行為後まだ服を着ていない為、均等のとれたしなやかな裸体が私の目には眩しく映る。
今し方までこの綺麗な体に抱かれていたのかと思うと先程まで荒北を受け入れていた部分が再び熱を持ち始めてしまう。自分の身体ながら本当に淫乱だなあとか思っていると私の視線に気が付いた荒北が、ニヤリと人の悪い笑みを浮かべながら近づいて来た。

「まだ足りない訳ェ?」
「そうだね、もう一回やろうよ」
「本ッ当に名前ちゃんって淫乱だねェ?東堂も大変だ」
「今、尽八の名前は出さないでよ。シラけるから」

ニヤニヤしている荒北をベッドに押し倒し、馬乗りになりながら互いの唇を合わせる。最初は合わせるだけだったものが徐々に深くなっていき、互いの唾液を交換する程までなってくると流石に息が続かなくなり、唇を離すと飢えた獣のような目をしている荒北と目が合い、その視線が私の雌を刺激する。

「自慢の彼女がこんな淫乱だって事東堂は知ってる訳ぇ?」
「………まだ尽八とはした事ないから知ってる訳ないよ」
「彼氏とはした事ないこと俺としていいの?」
「今更でしょ?どうせ尽八だってわたしと同じような事やってるんじゃない?私には一切触ってこないから他で満足してるんでしょ」

それに散々今までやっておいて今更何故そんな事を言うのか、彼氏とは名ばかりで一年も付き合っていてキスさえした事もなく、ましてや手を繋いだことだって数えられる程しかないだなんて神様もびっくりする清い関係だ。例に漏れずお盛んな年頃の私には当然満足できるはずもなく、とうの昔に尽八への気持ちは冷めてしまっている。向こうはどうか知らないが私はここ最近は尽八と惰性で付き合っているようなものだ。
そんな欲求不満な時に目の前に自分の欲を満たしてくれる人が現れたらついついそっちに行ってしまうのは仕方がないではないか。

「何、名前ちゃんは俺のちんこ目当てだったのかよ」
「知ってたくせに」
「まァね」

荒北だって欲が発散できてスッキリするのだからギブアンドテイクで良いじゃないか。俗に言う持ちつ持たれつってやつだ。
どうせこの関係は卒業までなのだからもう少し楽しもうじゃないか、そう自分の中で割り切り再び荒北の胸に抱きつき続きを催促した。


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