一日二回の定期検診。唯一あの部屋から出られる貴重な時間だ。あの部屋は広く、天井も高いが、やはり閉鎖空間は気分を重くする。 「調子はどうだ?吐き気や痛みは?」 「いや、特に。何もすることもないのだし」 確かになあ、と軽やかに笑いながら、ラチェットは手にしていたカルテに何かを書き込んだ。毎度毎度、何を書き込むことがあるのだろう。儂には分からない。 「そうだ、お前さんに朗報だよ。今日から、午後の検診は外出の時間になる」 「本当か」 ラチェットの話によると、この基地の(…ここは基地だったのか)裏にある、雑木林ならば、お前の姿を見られることなく(誰にか、とは言わなかった)過ごせるだろう、と。 外。 それは一体どんな場所なのだろう。 解錠 |