(?×♀サム) ああ、ああ、今日はなんて素敵な日かしら。きらきら瞬く太陽も、雲一つない空も、祝福してくれているみたいで、嬉しくなる。ご機嫌なわたしに、ビーが何度か理由をせっつくけど、まだ内緒。せっかくなら、みんなの前で言いたいの。 何だようと拗ねる彼のハンドルを優しく撫でてやれば、嬉しそうにクラクションを鳴らした。 いつものように盛大に出迎えられ、部屋に連れてかれる。珍しくディセプティコンの姿もあって、少しびっくりしたけど、ちょうど良い。 「みんな!あのね、聞いて!」 ああ。みんなどれだけ驚くかしら。想像するだけでわくわくした。 「わたし、子どもが出来たの」 (一瞬、音が消えた。) 次の瞬間、オートボットから歓声があがった。一方で、ディセプティコンはみな顰め面をしている。 まだ人間を認めていない彼らには、やっぱり嬉しくない話だったかしら、と、ちょっとだけ悲しくなる。でも、こんなに嬉しいことはない。わたしの中に新しい命があるなんて、信じられない。 《ねえねえ!》《名前を聞かせてくれないかい?》《言ってご覧よハニー》 「やだな、ビーったら気が早いよ」 「男の子か、女の子か、楽しみだな」 「俺はサム似の女の子が良いな!」 はしゃぐみんなは本当に嬉しそうで、わたしまで嬉しくなる。と、感極まったらしいバンブルビーに抱き上げられた。大事な母胎を傷つけたらどうする、と、直ぐにオプティマスの掌の中に渡ったけれど。 「おめでとう、サム」 「ありがとう、オプティマス」 オプティマスの頬に親愛のキスを落とし、眼下にいるビーたちに向き直る。もし生まれたら、仲良くしてあげてね。当たり前だと揃って発された言葉に、わたしは今度こそ声を上げて笑った。 早すぎた春は終わりを告げ、動乱の行く末に駒鳥は小さくないた 誰の子だ。 |