ネサラさまが長い外交生活から帰ってきました | ナノ


鷹鴉(FE暁)

※ネサラさまが外交官。

むず痒さに目を覚ますとネサラが俺の髪をいじっているのだった。寝るのは随分遅かっただろうに、先に起きていることにも驚きだが、こんなに寝起きの機嫌がいい彼を久々に見た気がして、睡眠を妨げられた不満も忘れしげしげとその顔を覗きこむ。不躾な視線にも「ん?」と唇の端で微笑み返すネサラ、これは一体どうしたことか。「随分ご機嫌じゃねぇか。いい夢でも見たか。」「いい夢とは言えんな。俺はたくさんの顔のない奴らに追いかけられてたんだから。」シーツの上から腰を抱き寄せると比べるまでもなく薄い躯はあっさりと俺の胸に収まって、夏とは言え冷える朝にはちょうどいい。もぞもぞ身動いでいたネサラが大人しくなるのに合わせて続きを促すように額に口づけると声を上げて笑った。「俺は走って走って、色んな場所にいった。キルヴァス、フェニキス、ゴルドア、ガリア、クリミアの城、デインの王宮、ベグニオンの塔……。どこにいっても奴らは俺を追いかけてくる。へとへとになった俺は最後にセリノスに逃げ込んだ。不浄の奴らにはこの森には入れないと思った。でも奴らは入ってきた。俺は逃げた。がむしゃらに扉を開けては隠れる場所を探した。見つからなかった。とうとう俺は疲れてしまって、一番上等な部屋のベッドで眠ることにした。最期くらいはいい思いをしたいじゃないか。俺は靴を脱ぐのも面倒でそのままふかふかのシーツに寝っ転がった。すかさず追い付いた奴らが俺の隣に潜り込んできた。そこで目が覚めた。」
ネサラはじっと俺を見ていた。俺もネサラを見ていた。
ずっとずっと見ていた。

「おまえ。どんだけ俺が好きなの。」


どこにもない天国




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