成御(逆裁) ああああああっ。 闇夜を切り裂いて響き渡った悲鳴にがばりと御剣が身を起こす。 「今の声はなんだ。」 僅かな月明かりが射し込むばかりの部屋は大層暗く、表情を伺うことは出来ないけれど、絡んだ指先が伝える震えは全てを教えてくれる。 「猫だよ。猫が鳴いているんだ。きっと、縄張り争いでもしているんだろう。」 そんなことを言っているともう一度鋭い鳴き声が窓越しに聞こえてきた。ああああっ。絞り出されるような威嚇の声はそれきりぴたりと止み、部屋には静寂が戻る、が、それでも落ち着かないのか、御剣はじっと起き上がったまま、微動だにしない。いい加減隙間風が辛くなってきたので半身を布団から出して無理やり御剣の肩を掴んで引き倒した。うっ、という呻き声ごと抱き込んで包み込んでなかったことにする。 「大丈夫だよ。」 この暗闇こそは何もお前に想気させないことを祈る。 瞼のふた ※叫び声で思い出す御剣とあやすナルホドくん |