▼ツイッタでポロポロ言ってたやつ ▼江戸時代くらいのカラクリ屋誠凛パロ(面影無し) ▼無冠日だけど花宮くんしか出てきてない ▼やっつけ感 村人は言う、あの屋敷に近づくな、と。 手入れのされていない庭には草木が生い茂り、所々ヒビの入った白塗りの高い塀と相まって、中を伺い知ることは出来ない。日光の遮られた屋敷は薄暗く、物音一つしないことが、一層不気味さを増している。門は固く閉ざされるばかりで、開いていると思って覗いても、その奧は沼の底のように澱むばかり。あばら屋同然の屋敷に、しかし時折訪れる酔狂な客だけが、そこに住人がいることを知らしめる。 ガンガンと、何度も何度も古びた門を叩く、青年のように。 ∴瞼の裏の新世界 「っせーな、こんな朝早くから何だよ!まだ問診は始まってねぇって、札に書いてあんだろーが!」 やっとありつけた睡眠から叩き起こされた花宮の機嫌はすこぶる悪かった。患者を怒鳴り付ける医者なんてどうかしてるが、さっきまで作業に追われていた身としては、文句の一つでも言わなければ気が済まない。苛立ちをぶつけるように門を開いた花宮は、現れた人物の出で立ちに絶句した。 「ここに、花宮って奴がいねぇか?有名な医者だと、治せないものは無いと、聞いた。お願いだ」 幾度も転んだのだろう、それなりであった筈の着物は汚れ、解れ、ズタズタになってしまっている。既に乾ききって黒ずんだ傷口のなんと痛々しいこと。満身創痍の身体を支えているのは身の丈ほどの杖だった。 何より徴的なのは、目を覆うように巻かれた、布切れ。 「俺の目を、治してくれ」 「なんや、仰山慌てて。何かあったん?」 いつものようにふらり立ち寄った店が、常の明るい賑やかさではなく、どこか緊張感の漂う騒がしさに満ちていることに、今吉ははて、と首を傾げた。飛び交う単語からだけでは分からない。一番弟子と鷲の目に大層可愛がられている茶髪の青年が、よくつるんでいる二人と何事かを言い合いながら、今吉の横を駆け抜けていく、その襟を、掴んだ。 「ぐえっ!」 「堪忍なー、ちょっとお話聞かせてや?何があってん?」 気道が締まり、言葉にならず暴れる降旗に代わり、福田が口を開く。 「日向先輩が、突然いなくなってしまったんです。すぐ帰る、と残して」 「作りかけの品を置いたまんま。こんなこと、今まで無かったのに……」 そう言った河原が抱えていたのは精緻な模様の彫りこまれた箱だったが、中途半端な所で終わっている。職人気質の日向が作業を途中で投げ出すことなどあり得ない。不審さに首を捻りながら、今吉は何とはなしに箱に手をかけた。 「あん?」 そこに入っていたのはさまざまな薬草、小袋に詰まった丸薬だった。くすりいれ。今吉の呟きを耳聡く聞き付けて福田が頷く。 「はい、木吉先輩が、知り合いの医者に頼まれたものだと。日向先輩も、それなら下手なものは作れねぇなと、俄然張り切っていて……」 それなのに、なぜ。 重く沈む空気の中、今吉だけは別の意味で気を重くしていた。事の全貌が見えてしまったからだ。 (あかん、やってもうた) 世間を斜に構えて見ている節のある後輩が、まさか気に入ることはないだろうと、日向を紹介したのはこの自分だった。居合わせた奴のお仲間に、ちょっとした自慢のつもりで、彼の作品を見せびらかしたのも。今吉は自分の軽率さを呪った。彼らはおいそれと手出し出来る連中ではない。味方の面して内部に潜り込んでいる輩がいるのも厄介だ。 「ああ……今吉さん。日向、いなくなっちまったんです。会いに来てくださったんでしょう?申し訳ない」 のっそりと部屋の奥から出てきた巨体が、憔悴しきった 顔で微笑んだ。木吉先輩、無茶は駄目ですよ!今吉の拘束から抜け出した降旗が木吉に駆け寄る、続くように福田と河原も。 優しいんだな、ありがとう。でも、一刻も早く会いに 行ってやらなきゃ……。 会いに行ってやる、ということは、木吉には既に居場所が分かっているということだ。信頼と混乱に曇った目では見抜けない、つまり自分に向けての牽制だ。 木吉は、今吉が気付いていることに、気付いている。 「……なんや、大変やなぁ?ワシにも出来ることがあっ たら、じゃんじゃん言うてや」 状況は、最悪。だがまだ全てが後手に回った訳ではない、手持ちには少々心当たりがある。それがどこまでこの化け物に通用するかは、甚だ疑問ではあるが。 「本当ですか、ありがとうございます」 ちっとも思ってない癖に。 向けられた、いかにも人好きするような笑顔に、今吉は心の中で思い切り舌を出してやった。 ↓以下ネタバレ的な 日向くんの目が見えなくなったのは、花宮くんの送ってきた薬草類のせい。 仕事を持ってきた木吉もグル。 養生のためキャプは(強制的に)無冠と住むことに。 キャプは原因を知らないので、 早く治さなきゃと思いながら、花宮くんから渡されるお薬を毎日飲んでいます。 当然、薬なんかじゃありません。 カラクリ屋誠凛は、倒幕を計画している今吉さんからの出資で武器開発をしており、 キャプが無冠に軟禁されてると知った誠凛が西洋のを模して作った銃片手に無冠とドンパチする っていうとこまで考えてました こういうパロください 無冠日ください |