濁り | ナノ
白雪

天から与えられしは温かな雫
それはきっととても美しいだろう


(一年生はもっと学に励むべきだ!と言いたいところですが、今日みたいな冷え込む日はおもいっきりはしゃぐのがいいですね。金吾もまだ幼いですし)

むこうで後輩達が遊んでいるようだ。自分達も彼等と同じ頃はあのように遊んだものだと記憶の奥底にある懐かしさに触れた。


天から与えられしは温かな掌
くすぐったい癒し


(あれからもうそれほどの時が経ったのですね。約束を果たせないことに日々申し訳なさが募ります)



私は忍ぶ者。
学園を出たら例え親しい間柄であろうと、戦場や敵の城で再会したのなら交じらわなければならない。そこにあるのは仕える者への敬意。どんな気持ちを抱いていようが、お互いを想うのは禁忌。

時が止まれば私とあなたはずっと一緒にいられるのに。



天から与えられしは温かな飛沫
それは日々体力を鍛えていた彼を止めた


――今日は裏裏山まで走るぞ!いけいけどんどーん!!
――滝のそういうところ大好きだぞ!
――変だ。今日のおまえはなんか変だ!悩みがあるのなら話して欲しい。それを取り除くことは出来ないが、話を聞くことなら私にも出来る。私では頼りにならないか?
――滝がデレた…っていたいいたいいたい!!頬をつねるんじゃない!まったくおまえは


――これだから目が離せない



教科書に、戦輪に、最後に触れたのはいつだったか。
今は何月の何日で何時なのか。今の私にはなにひとつ分かれない。

(何を仰っているのです。あなたは私にくれた言葉をこうして守ってくれてるではないですか)



私は忍ぶ者。
時には病む。人間である以上逃れきれない。
実務に危険は付き物。それは学年が上がるごとにスリルに変わってしまった。命取りになるというのに。


それだから


私は逝く者。
機械とは違い、自分の意志で停止出来る。


(私とて想いは同じであります。愛しきあなたが苦しんでる側で眠れる程、私は子供ではない)


私はここを去る者。
しかし、あと少し居きていたかったのが本心だ。
この愛しき場所、友人、後輩、教師、そして悲しむあなたをを過去のものにしたくない。


どうか、どうか、早く。
私が最期を迎える前に。

どうか、どうか、早く。
呼の者が最後を迎える前に。


(どうか、一度でいいから目よ開いてくれ。そうしたら心残りは無くなるから)



私は今日もこの者に接吻される。交な想いを抱いて。


スリー ツー ワン ゼロ