ice | ナノ
ice

僕には天使が見えます。
でもその天使には羽根はありません。
"天使には羽が生えてる"と言われていますが、僕の天使にはそれが無いんです。
何故ならそれは――


僕がもぎ取ったからです。



――というのは冗談で、僕の天使は人なのです。
天使のような人間ということなのです。
もしも生えてるとしたらそれはそれとして美味しいですけどね。

僕の天使改め、翔ちゃんはと〜っても可愛いのです。
小柄で動きも小動物みたいでと〜〜っても可愛いのです。
あ、大事なことなので二回言わせていただきますね。

「ねぇ翔ちゃん!それ、美味しいですか?」
「ん」

翔ちゃんは今、テレビを見ながらカップアイスを食べています。僕はそんな翔ちゃんをただただ見つめるだけ。あぁ羨ましいな。僕も翔ちゃんにくっつきたい。


翔ちゃんが持ってる銀色をじっと見つめる
いいなぁ、あのスプーン。
僕も金色から銀色に髪を変えたら翔ちゃんに触れて貰えるのかな?
僕は黄色が好きだけど翔ちゃんは銀色の方が好きなのかな?


「ほらよ!」
「え?」
「え、っておまえもこれ食べたいんだろ?優しい俺様が特別に一口やるよ!」

なんということでしょう!
翔ちゃんが…翔ちゃんが僕にアイスの乗ったスプーンを!差し出してきました!

「食べていいんですか?」

そう聞くと翔ちゃんが首を縦に振りました。


それじゃあ、お言葉に甘えて


「       」




からんっ、と鈍い音
アイツが床に落ちる音

そんなことは気にせず手首を掴む。
跡が付いちゃったらきっと怒られちゃうけど今は、



「イタダキマス(捕食シマス)」



ねぇシルバーの君、
君は床に這ってるのがお似合いです。
ほら言うでしょう?ゴールドはいつも一番、シルバーは二番って。
君は僕には勝てないんですよ。

翔ちゃんの"愛す"は僕以外駄目ですから。




甘いのは僕だけで十分でしょう?
「あぁああ!!!てめっ那月、ベッドにアイス付いたじゃねぇか!」
「翔ちゃん翔ちゃん!いい機会ですし模様替えしましょう?実は、この前新しいピヨちゃんシーツが販売されて!」
「…ざけんな!」
「どうしましたか翔ちゃん!?」
「おまえ、今日からこっちに入ってくるんじゃねぇぞ!分かったか!?」
「え〜またですか?こういうときは確か…コホンッ。「だが断る!」ですよ!使い方これであってました?」
「コイツと話してるとすっげぇ疲れるわ…」