エピローグ
「いやあ、参ったなー……」
また叶えてしまったね。
シン達が手に乗る程小さかったら、可愛いだろうなあ、幸せだろうなあ、っていう君の願い。
どんな姿でも彼らは通常運転なところがらしいというか。相変わらず説明信じてくれないから一苦労だよ。特にシンとか真っ向から否定してくるし、ケントは事実を受け入れないしね。
とにかく、君が幸せそうにしてると、何故かこちらまで幸せな気がしてくるから。
やっぱり、そうかな。
幸せそうに笑う女の子の願いを叶えたくなるのは、人間の男性も、精霊も同じなのかもしれない。笑顔に引き寄せられるのかもしれないな。
「良いバレンタインを」
君の幸せそうな顔が見れればそれでいい。邪魔しないうちに他の誰かの願いを――
「ノヴァ」
「っと、え? 君、彼と一緒じゃなかったの?」
「やっぱり、ノヴァが何かしたのかなって思って」
「君は、何でもお見通しだね」
とてもただの人間の女の子だとは思えない。
願いを解く条件をキスにしたこともバレてしまってるんじゃないだろうか。それも、君が白雪姫や眠り姫に憧れたところから来てるんだけど。
「ノヴァはいつも願いを叶えてくれるけど、私の願いを叶えて幸せ?」
「幸せだよ。だからきっと、君の願いは必ず届く」
ほら、そうやって照れたように花のように、幸せそうに笑うから。
「これからも、うっかり叶えちゃうかもしれないからね」
「その度にノヴァに会いたいって願うからいつも種明かししてもらえるね」
「君には本当負けるよ」
手を振る彼女を背にして空間に溶ける。
さて、次は君のどんな願いを叶えようか。
2015/02/11
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