シンとの場合




「シン、何か手伝おうか?」

 他の皆のいる場所を確認してから、もう一度シンのところに戻ってくると、その間にチョコレートは綺麗に片付いていた。

「遅すぎ。……もう他のやつ選んだのかと思った」

「? シンが踏んだら死ぬっていうから、皆がいる場所見てきただけだよ?」

「ふーん、別にいいけど」

 腕を組んで興味無さそうに返事してくるけど、その姿でツンツンされても可愛いだけなんだけどなあ……

「! おま、何っ」

 小さくて可愛いなあ……シンを手のひらに乗せて、プニプニした頬っぺたをつんつんすると嫌がる。頭を撫で撫でしても嫌がる。せっかく可愛いのに……

「いきなり何してんだ……!」

 シンは頬を膨らませてプンプン怒ってる。両手を腰にやって睨んでくるけど、可愛くて仕方がない。
 もう一度つついてみると、照れながらそっぽを向いてしまった。可愛い。
 なんか笑っちゃう。シンがこんなに可愛い姿になってるなんて。小さい時はこんな風に可愛いことが多かったけど、今はもうすっかり可愛さが抜けてきて、大人の男の人になろうとしてる。
 もう一度つついた時、シンが両手いっぱいに指を掴んで見上げてきて、その余りの可愛さにどこから出たのか分からない叫びが出てしまった。

「っ――!! 可愛すぎる……」

「ところで、何で何も聞かないわけ。こんな姿になってるのかとか、普通一番に疑問に思うんじゃないの?」

「そっか、そうだよね。小さいシンが可愛いから触ってみたくて……」

 可愛い、なんて正直に言ったら怒られるかと思ったけど、シンは複雑そうな顔で、それが願いかよ、と呟いていた。
 何だかよく分からないけど、目を閉じて考えている姿を見ているだけで可愛いと思ってしまう。
 もう普段のシンは気軽に可愛いなんて思えないと思うから、その分多めに今感じてるのかも。
 いつものシンは、私の中ではもう――

「で、さっきこの箱開けたけど、何か食べようとしたんじゃないの?」

「えっ」

「好きなの選べば。オレが食べさせてやらないこともないけど、どうする?」

 食べさせて……!? 先程のトリュフを抱えているシンを思い出して、それが食べさせてくれるに発展するのを考えただけでとても魅力的な話に思えた。
 私は喜んで赤いトリュフを選んだ。カシスリキュール入りらしい。

「ほら、あーん」

 シンが運んできてくれるから、私はその高さまで屈んで口を開けた。




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