オレだって愛してる
2013/10/27
次、いつオマエに会えるんだろうって、考えて自嘲して鼻で笑って寝る。何度そんな夜を過ごしたんだろうな。
会えるだけでも有難いってのに、気持ちが求めて求めて仕方ねぇ。
優しく触れられなくて首を絞めて、笑いかけられなくてひどい言葉を浴びせて、……愛してるのに手に掛けてきた。
そんなオレがこんな気持ちを抱くには烏滸がましいにも程があるよな。わかってる。わかってるけど……
「ウキョウ? 疲れてるなら、私がやるから休んでて?」
「うるせぇよ。何で客のオマエにやらせてオレが寝るんだよ」
「だって、今のウキョウの時が長いってことは疲れてるからでしょ?」
……そうだな。オマエとしては表側の俺に会いたいに決まってる。
口を開けば暴言しか出ねぇような、オレと居てもオマエは癒されたりするはずがない。
オレがいくら癒されようったってな……
「じゃあ、オマエが抱き枕にでもなれよ。そうしたら、大人しく寝てやる」
「いいよ?」
「!? オマエ、自分が何に返事したかわかってんのか?」
「わかってるよ。私はウキョウを癒したいの。それだけだよ。その為なら何でもしてあげたいよ」
バカ女。そんな言葉、普通に期待すれば、言いように取ってめちゃくちゃにしちまうのが男ってもんだ。
その手から洗濯物を奪って投げ捨てて、抱えて寝室に向かう。柄にもなく心臓がうるせぇな。ただ抱いて寝るだけだろうが。
「ウキョウ…… 」
「こっち向くんじゃねぇ。食っちまうぞ」
「あなたはそんなことしない癖に」
何で笑うんだよ。しかも、どこまでオレのこと信じる気だ。お人好しにも程があるだろ。
オマエがそうやってどこの世界でもお人好しでバカでオレを信じたりしたことがあったから、そこにつけこんで何度も殺してきたってのに。
「信じてもらえないかもしれねぇけど、言わせろよ」
抱き締める腕に力を込めるとどこまでも沈み込んで、このまま背骨を折りそうになるな。まだ大丈夫だ。このくらいじゃ折れねぇ。なのに、すげえ怖い。自分でそう思っても、気がついたら腕の中で絶命してそうで。
「愛してるよ」
「私も愛してるよ。そっち、向いちゃダメかな?」
「どうされてもいいなら……勝手にしろよ」
あほ丸出しにこっちに身を反転させるバカの唇を奪う。苦しいくらいに塞いでるってのに、何故か離れようとせずにしがみついてくる。
「オマエ、正真正銘のバカだよな……」
「それでもいいよ。ウキョウがそんな私を嫌いじゃないなら」
「……嫌いなわけねぇだろ」
なあ、このまま……なんて呟いて、顔を赤くするのを見させてもらう。悪いな。今日は朝まで俺には返さねえよ。別にいいだろ。今日くらい。
オレって幸せになっていいのか。呆れるレベルの疑問を残してただ欲に身を任せた。