2メートル(188センチ ※軽い下ネタあり、ハイヒール男子、車内いちゃいちゃ 俺の身長、173センチ。日本の平均身長は越えてる。俺の恋人の身長、188センチ。オランダ(平均身長世界一)の平均身長を越えてる。 身長差は15センチ。一般的な恋人の理想の身長差。彼女が背伸びして彼氏が屈んだ状態でキス出来る身長差。 がしかし、俺達の場合、この屈む側の恋人が、彼女であるからして。 恋人とは高校で出会い、付き合って、大学の今は半同棲中。俺は飲み会で潰れた恋人を迎えに、車を走らせる。 人間の悪いとこで特徴なんだけど、俺は信号待ちの最中に、ふとあることを思い付いた。 あれ、あいつってあと12センチで2メートルなのか。2メートルっていったら車高でもL(LL?)サイズ。立体駐車場入れないじゃん。そう考えるとでけぇ、…でっかわいい。 そんなことを考えてたら、翌日には29センチの12センチハイヒールを特注するハメになった。 「バッッッカじゃねぇの」 「まぁまぁそう言わずに」 数ヵ月後届いたハイヒールは、ハイヒールの可憐さがぶっ飛ぶほどでかかった。靴の箱ってもっとコンパクトじゃないのか。 なんとなくヒールが太いのよりロマンがあったから、ピンヒール。少しでも楽に履けるよう爪先部分も底上げてるが、ラウンド状だとかわいこすぎるので三角に尖ってるやつにした。 色もあんまり自己主張しないように黒にして、靴底と中敷は赤にしたり。あとカパカパしないようアンクルストラップ着いてるのにした。 それを見て恋人、高井は露骨にいやな顔をする。ただでさえでかい身長が本人的にはいやらしく(スポーツするときは便利だけど)、よりでかくなんかなりたくないのと、男の足でヒールなんて見苦しいとのこと。 そうかなぁ、と俺は床に膝をつき、ソファー腰かける高井の足をとる。男らしく骨ばってはいるが、女と異なり無理をしていない分キズも変形もない。忠誠を誓うように足の甲に口づける。 「おい、やめろって」 苛立った声を聞きながら、顔を上げる。足の裏を触り、足首をなぞる。足の腱は細く鋭く、へし折れそうなぞわりとする儚さがある。 「ふっ、落とし物ですよ」 「あ"?」 「シンデレラ」 「ぶっ殺すぞ」 それでも無理に高井はいやがらず、されるがままだった。足に爪先から靴を履かせ、ぱちりとストラップを止める。左右にそうしてみると、本当に落としたかのようにぴったりだった。 「うわ、気色わり」 「そんなことない、というかそれ×万だから、壊すなよ」 「×万ッッ!?ば、馬鹿だ馬鹿だとは思ってたが、ほんっっっっとうに馬鹿だな。」 げんきん。金額聞いたらしげしげと見つめちゃって。立ち上がって高井の手をとる。 「立ってみ」 「マジか。………いや、これこえぇわ」 「手持ってる」 なかなか立ち上がろうとしなかったが、俺が手を持ったまま見つめていると、ため息をついて足に力を入れた。 「わっ、わっ、平井ぜって手離すなよ、うわっ、わっ、なんだこれ、わぁっ」 「うん、うん、落ち着けって」 立ち上がった高井とは身長差が30センチ近い。もはや見上げるほどだ。でも高井は不馴れなぐらつく足下に、覚束なさげに俺の手を握る。俺よりでっかいのに、俺の手を頼りに、一歩。 「女ってこんなん履いてるのか、すげぇな…わぁっ、やめ、平井、うごくな、やっやだ…っ」 「大丈夫大丈夫。転ばせないから」 高井の両手を持ったまま、一歩後ろに下がる。俺の手に頼りきりの高井は仕方なく、恐る恐る一歩踏み出す。立ったまま両手を取り合うって、ダンスしてるみたいだ。 「高井」 「あ、コツわかった、かも、手もういい」 「デートしようよ、このまま」 「はっ!?無茶、言うなぁっ!ま、待て、ゆっくり!」 だんだんと慣れてきた高井は俺の手を離した。なんだ、つまんない。 家の中ではこれ以上かわいいとこ見れなさそうだったから、にっこり笑って手招きする。ふらふらする高井は、健気に子犬みたいに俺の後を追った。……高井ちょろくて、悪い人に騙されないか心配。 「コンクリ!排水口の蓋の穴!マンホール!点字ブロック!こえぇ!!なんでこんな地面でこぼこなんだよ死ね!点字ブロック以外でこぼこいらねぇだろ死ね!!」 「つかまる?」 「いらん!電柱!電柱だ!」 外に出ると、高井は駐車場までの少しの距離に何分もかける。あんな細い踵だと、コンクリの細かい凸凹にも引っ掛かりそうだ。隣を歩きながら、高井の顔を見上げる。必死。なんだか悪いけど笑っちゃう。馬鹿真面目でかわい、すき。 「はい、お手をどうぞ」 「ぐ。お、おう」 車に乗り込むのも一苦労で、さすがに俺がドアを開けて手を取った。…なんか彼氏彼女っぽい。彼女は俺の車にはいささか巨大だが。ちまって助手席に乗るのが可哀想でかわい。 「さて、どこいく?」 「ノープランかよ……歩かなくてすむとこ」 「そうだなぁ、映画行く?あれ見たいって言ってたじゃん」 「映画とか…俺の後ろの客かわいそうだろ、屈むのしんどいし。」 そうなんだよなぁ、初めて高井と映画行ったとき、混んでて前の方しか空いてなくて、高井は2時間ずっと屈んでたなぁ。それ以来映画は事前予約で最後尾取るようにしてるけど。 「うわっ!まだこんなとこあったのかよ!すげぇ!」 「探せばあるもんだよなー」 早くも暗くなってきたころ、ようやくそこに着いた。高井はどこかわくわくした声を上げる。 今は昔の、ドライブインシアター。アメリカンホームドラマによく出てくるやつ。フロントガラス越しに駐車場のスクリーンを眺めて、音声はラジオから聞くやつ。 適当な隅に止めて、適当に音量を上げた。シートを倒して横になる。 「んーふふふ、たーかーいー」 「うわ、なにキモい。あと靴脱いでいい?」 「だーめー。ちゅうー」 「わぁっ、ちょっちょっ!」 寝転んで映画見ようとする恋人に絡む。首筋に顔を埋めて、ほっぺにちゅうする。このままらぶらぶいちゃいちゃモード突入かと思えば、なんだか高井の機嫌が悪い。 「…………平井さ、」 「んーうー??」 「お前、俺が寝転ぶと機嫌よくなるよな」 「……ん?」 「……見下されんのやなら、俺なんかと付き合わなきゃいいだろ、ウザイ」 何をいってんだ。この人。見下されんのイヤならハイヒールなんか履かせないが。長身がコンプの高井は寂しそうにそう言うと、ぷいっと背を向けてしまった。なにこれ。え、なにこれ、どうしよう不謹慎だけど萌えた。 「えっえっ」 「お前より俺のがでけぇからやなんだろ!バーカバーカ!」 「ええええーー」 そっぽ向いて悪態つく188センチ(2メートル)。なにこれ、かわいい。ていうかでかいのの何が悪いの。俺はお外でいちゃいちゃが嬉しかっただけであって。 「高井ちゃん」 「うっせうっせ!ハイヒールなんか履かせやがって!やっぱり華奢な低身長女子がいいんだろ!バーカ!」 「こっち向いてよ」 「バーカバーカ!」 「馬鹿だけどこっち向かないとキスするよ」 「うっせ、もー馬鹿ー!!!」 高井の背中に張り付いて、耳元で呟く。あー拗ねちゃった。けっこう、彼女のがでかいこと、本人のが気にしてんだよな。そうやって気にしてるとこがいとおしいのに。華奢なヒールは添え物でしかないのに。 「高井、好き」 「うっさい。もー…」 「高井がいいの。プルプルしてる高井かわいくてはしゃいじゃった」 「……」 「好き」 「……うっさい」 「俺よりでっかくても、高井かわいいんだもん。高井がいーの」 「……」 そうしてると、ようやく高井が顔をこっちに向けた。顔真っ赤。頬っぺたを撫でる。唇を撫でる。髪をすいて頭を撫でる。好き。 「…………物好き」 「高井もね、ちゅうして」 「ん」 結局、らぶらぶ。外はもう暗いし車だし、ちゅうしちゃった。口離すとなんか名残惜しくておでこくっ付けた。でも俺もやっぱり彼氏であるからして。 「強いて言えば」 「ん?」 「高井がねっころがると、」 「おう」 「身長差関係なくなる分、」 「うん」 「何でも出来ていいよな」 高井の上に馬乗りになる。はっはっは、身長差など寝てしまえばなくなる!長い足は正常位だと少し邪魔くさいが、騎乗位だと全部包まれる感が堪らない。うん、そういうとこもでっかくて好き好き(台無し) 「うわっ平井っ!まっ、て、って!ここ外!そと!」 「あれあれ。やましくないから。ほら、タイタ×ックごっこ」 「車のシーン!?あれヤってねぇからな!!?」 「え、そうなの!?じゃあスピー×ーズごっこ」 「それ訳わかんねぇよっ!やめろ馬鹿!」 「まぁまぁ、冗談だけどね。車狭いし」 帰ってからするけども? おわり |