15.猫と魚

「おや、猫。狩りはいいのか」
パールは首を傾げながら、葉っぱをしゃぶって吐き出す。虫は敵だ、と草を異様に痛め付けていて、複雑な気持ちになった。とにかく、虫がいたんだろう。
さらに鮮度が落ちたら大変だし、おそらく、魚人にはかなりの死活問題にちがいなかった。
……しかしだったらなぜ、神殿でなく、外の水を飲むのかと不思議だが。

「狩り、バレてたのか」

「ああ。あんな食事では満足出来まい。肉食の猫。ぼくも、フルーツが欲しいね。美しい肌が保てないのは恐怖なんだ」

「……そうかい。まあ、たしかに空腹だ。しかし、なぜ虫が嫌なのに、そんなところで朝露なんか集めているんだ?」

「こいつらは、毒をろ過するらしい。『作り物』を食べていないから、毒がない。虫だってだから寄ってくるんだ」

「……ふうん」

 なんだか納得できない部分もある説明だったが、ランは深く聞かないことにした。天然の物は呪いの毒がきかないのだろうか。

 人間に紛れて暮らす、人間に近い体の生き物は、何種かいるようだが、ほとんどが雑食で、人間が作った料理の何かに含まれた人工調味料なんかも、たしかに生活のなかで口にしていることは多い。

月と太陽によく当てた水を飲むことが、ヌーナの呪いの進行を遅らせているというのも、彼女にあったときに聞いていた話だが、関係があるのかもしれない。

 それに、そうなら、りゅうたんは本当に自分の体にいいものしか食べない竜なのだろう。

prev / next



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -