13.疑惑誕生

「あなた……こんなに可愛いレンズにも、私はまあ仕方ないけど、全く無関心だと思ってたらまさか──」
ヌーナが納得したような目でランをみる。

「ち……っがう、からな! おれは、そんなんじゃない!」
わけもわからず動揺したまま、ランは言う。ほとんど叫ぶみたいに。レンズが不審そうに彼を見つめた。

「……いや、でもぉ。そんな全力で叫ぶこと無いじゃん?」
「うるせぇ!」

ランとレンズが再び争いを始める中、パールはきょとんと二人を見て、それからヌーナに聞いた。

「野菜は。ぼくは美しい姿のために、美しい野菜を食べることにしている」

「……海草、でいい?」

 あちこちの戸棚を漁って、見つけたわかめを見ながら、ヌーナは答えた。聞いたことがある。魚人族は、美しい身なりを常に守っていなければ、後に群れで異性となる同属と、結ばれることが出来ない。細かい点は不明だが、美しさが無ければ、生存競争の激しい魚人界で生き残れないのだ。


 そうして各々、席に着いて食べた朝食は、とても美味しいものだった。
しかし、ランは満たされない。干し肉だけでは『肉』が足りない。そういえば、三人で暮らすようになってから、ずいぶんと『狩り』をしていないのだ。

「出かける……」

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