12.朝食の準備

     □

『あさのとり』が鳴き始めて、日がすっかり出てきた頃。四人は朝食をとることにし、まず準備を始める。


 ヌーナが、手袋を付けた手で、すぐ足元の冷蔵庫から出した数個の卵をフライパンに割って、手際よく調味料を加えながら、フライパンの形に沿った、真ん丸の形の玉子焼きを作ると、本棚の横にある食器棚から出した大皿に乗せる。

レンズは厚いパンを人数分に薄く切り、チーズやハムを出してそれも小さく切り、人数分、別の皿に乗せている。ランがハムを掴もうとして、またダメ! と怒られていた。

パールは、陸の食事が珍しいのか、ぱちくりと瞬きをする。ヌーナは、大きな玉子焼きに切り目を入れながら、ふとパールの方を向いて「あなた」と言った。
「なんだ。名前はパールだ。だが、名前なんかどいつもこいつも、いちいち気にすることではないだろう」
「……いえ。裸なのね」
「そうだ」
「魔力で作られた光の幻……レンズがやったんだわ。視覚に頼る情報が主に多いような、たいていの人間なら、騙せるでしょうけれど。私、びっくりしちゃった。私から見たら、透け透けだもの」

「ヌーナ! ランは、パールといちゃついてたよ!」
人数分の皿を用意し終えたレンズが、報告する。ランは頭を抱えた。

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