忠飛
雪が降る夜、張飛は外の風景を肴にし酒を飲んでいた。
一人っきりで酒をのんでいたかった。
なのにそうはさせまいと近づく気配。
感じ慣れた気配が近づくと張飛は振り向いた。
「何か用か忠勝…?」
「張飛殿、隣宜しいか?」
「ああ…」
張飛の返事が返るなり忠勝は張飛の隣に座る。
「飲むか忠勝…」
「張飛殿から頂ける酒なら頂戴しよう」
忠勝は張飛から酒を貰うと味わうかのように酒を飲んだ。
「美味いでござるな…」
「それで用は何だ?」
張飛は忠勝の意図を探るかのように呟く。
「こんな所で一人で何故酒を飲んでおられる?」
「今は一人っきりで飲みたい気分なんだ…」
張飛は忠勝を見る事はなく風景を見ながら酒を煽るように飲んだ。
何故だろうか、自分を見てはくれない張飛に腹が立つ。
「張飛殿…」
忠勝は張飛の身体を引き寄せ抱きしめる。
「何しやがる…もう酔ってるのか?」
張飛は忠勝を睨みつける。
今日、初めて張飛が自分をちゃんと見てくれた気がした。
「張飛殿が拙者を見てはくれないからであろう…」
「何だよ、もしかしてヤキモチか?忠勝以外の男と一緒に居たのが嫌だったのか?」
昼間、張飛は忠勝以外の男と一緒にいた。
そしてあろう事か忠勝が見ていると知っていながら張飛は男にその身体を触れさせた。
忠勝には決して許す事はなかった身体を他人に触れさせた事に忠勝は嫉妬していた。
「張飛殿がいけないでござる。拙者以外の男に触れさせた事が許せない…」
「ふふ、まるで雲長の兄者のようだな…」
「関羽殿?」
「忠勝は雲長と同じ事を言っている」
張飛は悲しげに呟く。
「張飛殿…」
忠勝は張飛の顎を掴むと無理矢理口づけた。
「んっ、んん…」
強引に唇を割り、張飛の口内に舌を挿入し張飛の舌を絡ませていく。
「んむっ…んふ、んっ…」
忠勝が満足するとゆっくりと唇を離す。
「ふあっ…やっ、止めっ」
「張飛殿、拙者の愛を受け入れてもらうぞ…」
「嫌だ…離せ」
「離さない…そなたは拙者のものだ張飛殿…」
「忠勝…」
まるで獲物を狙う獣のような目で見る忠勝に張飛は逃げられないと悟る。
「愛している張飛殿…」
「忠勝…お前、本気で言っているのか?」
「拙者は至って本気だ。何度でも言おう…張飛殿、愛している…」
忠勝は真っすぐに張飛の瞳を見ながら告白する。
告白された張飛は顔を真っ赤に染めた。
そして恥じらうような態度をとる。
「俺を好きになるなんて物好きだな…」
「気づいておらぬのか。そなたは魅力的なのだと言う事を」
「さあな…俺は気にしていないからなあ」
忠勝は張飛を床に押し倒した。
「張飛殿…」
「忠勝、どいてくれ…」
「嫌でござる。言った筈だ、拙者の愛を受け入れて欲しいと…逃がしはしない」
忠勝は張飛の着流しを左右に拡げ荒々しくその鍛えられた身体に触れる。
「止め、嫌だあっ!」
「抵抗しても無駄だ…張飛殿は拙者のものだ」
忠勝は欲望を押さえる事なく張飛を犯していった。
犯された張飛はただ涙を流し抵抗する。
その姿が美しい。
それだけ張飛の存在が魅力的であった。
ただ、貴方が欲しかった。
欲望を抑えられなかった。
欲だけで、貴方を傷つけた。
それでも拙者は張飛殿を愛している。
忠勝は張飛を手放す事はなく抱きしめ口づけを落とした。
終
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26th.Dec.2011
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