小ネタ集
羽→飛←淵

朝起きたら隣には何故か夏侯淵が寝ていた。
そして起き上がると自分は何故か裸になっている事に気づく。
「なんだこれはっ!!」
張飛の上半身には紅い痣が点々と沢山ついていた。
昨夜は一人で寝ていたし、誰かと一夜を共にした覚えはない。
なのに何で隣に夏侯淵が寝ているんだ?
「………」
良く見たら夏侯淵も裸で寝ていたと言う事に気づいた。
まさか俺が夏侯淵に抱かれたのか?
だが、身体の何処にも異常はないし、腰は痛くはない。
こんな状況を誰かに見られる訳にもいかない。
張飛は急いで寝台から降りようとした。
急に腕を捕まれて寝台へと引き戻され押し倒された。
「おはよう…翼徳」
「…何がおはようだ。俺から退きやがれ!」
「嫌だ…」
「なっ、何で俺の寝台で寝てるんだ?」
「だって翼徳が可愛い寝顔で寝ていたからつい一緒に寝ちまった」
夏侯淵はニッコリと笑う。
「それに久しぶりに会ったのに連れないなあ。俺達は一応は親戚なんだし、冷たいぞ」
「うるせえ、俺の身体にこんなに痣を付けたのは何でだよ!」
「本当は翼徳を抱きたかったんだけど…眠気に負けた」
「えっ?」
「何なら、今からでもリベンジで抱かせてもらおうか?」
夏侯淵の言葉に張飛は怒りが沸き上がる。
そして思わず頭を殴ると、身体を引きはがしに掛かる。
夏侯淵の身体を退かそうとした時であった。
軽く扉が叩かれたと思ったら扉が開かれると関羽が寝室に入ってきた。
「翼徳…夏侯淵殿の姿が見当たらないのだが、知らぬ…か?」
関羽が寝台を見ると、夏侯淵が張飛を襲っているように見えた。
「あっ、兄者、助けてくれ!」
「ありゃりゃ、軍神様のお出ましか。惜しいな…」
「夏侯淵殿、何をしておるか?」
「見てわかんない。翼徳を今から抱こうと思ってた所なんだけど、あんたも混じるか?」
「てめ、何言ってやがる…俺は妙才に抱かれたる気はねえ!」
張飛は夏侯淵を引きはがそうとするがびくともしない。
「翼徳、お主は拙者と言う者がおるのに不倫はいかんぞ!」
「違っ、俺はこいつに抱かれてなんかいない。誤解なんだ兄者、信じてくれよ!」
張飛は関羽に必死になって呟く。
だが、張飛の身体を見ていると信じたいのに信じられない。
「翼徳…わかった、夏侯淵殿、翼徳から離れよ…」
関羽は寝台に近づくと夏侯淵を引きはがすと張飛を抱きしめる。
「兄者、ありがとう…すまねえな」
「翼徳は拙者のものだからいくら夏侯淵殿でも渡す気はないぞ」
「聞きずてならないな…翼徳は俺のだ、関羽にはやらない!」
張飛の腕に抱き着いた夏侯淵は張飛を引き寄せようと腕を引っ張る。
「何を言うか、翼徳は拙者のものぞ!」
関羽も負けじに反論する。
「ちょ、二人とも…落ち着けよ。俺様はいつ二人のものになったんだ?それからいい加減、離れろよ」
「嫌だ!」
「拙者は離す気はないぞ!」
ああ言えばこう言うし、張飛は困ってしまった。
いつまでもこうしてはいられないのに。
「翼徳、俺様は翼徳の事を愛してるぞだから俺様の事も好きだよな…?」
「妙才…俺は…」
夏侯淵が張飛を抱き着き呟くと張飛はどう答えたら良いか解らなかった。
「何を言う、翼徳は拙者を愛しておる。夏侯淵殿、そなたは諦めろ」
「勝手な事を言うな!俺は妙才に聞いてるんだ!」
関羽の言葉に夏侯淵は怒りを露に叫ぶ。
「…二人の事は好きだけど、どちらかを愛するのは出来ないな…」
張飛は面目ない表情で呟く。
「なら、俺様が好きになるように振り向かせてやるよ!」
「むっ、こちらこそ負けませぬぞ!」
関羽と夏侯淵はライバル意識が高まり睨み合う。
張飛はただ溜息をついた。
(ああ、勝手に話が進んでいく…人の話を聞いてないな)
未だに自分を挟んで口論する二人に呆れるしかなかった。
「いい加減にしろっ!」
張飛は関羽と夏侯淵を殴ると自分の部屋に戻っていこうとする。
「俺は誰のものにもならないからな!」
そう呟くと思いっきり扉を閉めて出て行った。
「関羽が邪魔をするから逃げたじゃないか!」
「何を言う、夏侯淵殿が翼徳の側にいるからであろう。翼徳は拙者のだ!」
「いいや、俺様のだ!」
二人のやり取りは暫く続いたようであった。




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4th.Oct.2011


 
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