遼仁
こんな晴れた暑い日は水を浴びて身体を冷やすのが一番と、曹仁は井戸に行き、水を汲んだ。
下穿き姿になると水を汲んだ桶を持ち上げると頭から汲んだ水を浴びさせる。
勢い良く熱を持つ身体を水が流れていく。
水に濡れた身体は一度では体温は下がる事はない。
曹仁は再び井戸に桶を投げ入れ、水を汲んで先程と同じように身体に水を被せる。
「はあ、気持ちいいな…」
鍛えられた肉体に水が滴り落ちる光景。
それだけなのに見る者は今の曹仁が色っぽく見えるだろう。
曹仁はその事に気づく事はなくまた水を頭から被せ、身体を冷やしていく。
その行動を静かに遠目から張遼は曹仁を見つめていた。
想い人が外で肌を晒して水を浴びるだけで欲情が高ぶる。
濡れる身体を見ると思わずゴクリ、と喉を鳴らした。
「そんな所で何をしているのだ張遼…」
「曹仁…殿、さっきから何をしているのだ?」
「何って行水だ…こう暑いと敵わないのだ。少しでも涼を取りたいと思ってな…」
「成る程、確かに一理ありますな…」
「どうだ、張遼もするか?」
「いや、私は結構です。これから殿に頼まれた仕事をしなくてはならないので」
「そうか…」
「折角の誘いなのにすまん…」
「いや、気にするな…」
曹仁が身体が涼しくなったのか布で身体を拭っていく。
「子孝…私が背中を拭いて差し上げようぞ」
「それはありがたい…」
曹仁は張遼に布を渡すと張遼に背中を向けた。
張遼は曹仁の背中を布で拭っていく。
日に焼けていない身体は筋肉に覆われており、とても艶やかであった。
「子孝の肌は綺麗だな、それに触り心地良い…」
「そうなのか?あまりそんな事を気にしなかったな」
曹仁は張遼に背中を拭ってもらいながら呟いた。
背後から見る曹仁が何故が色っぽい。
張遼は思わず曹仁の項にキスして舌で舐める。
「ひゃあっ、な、何をするんだ!」
曹仁は思わず張遼を殴ってしまう。
不意打ちのように殴られた張遼はよろけたが倒れる事はなかった。
「いや、子孝があまりにも色っぽいからつい手がでてしまった…」
「だからっていきなり項を舐める奴がおるか!」
「悪気はなかったんだ、そんなに怒らないでくれ子孝…」
張遼は曹仁を抱きしめると曹仁は黙ったまま抱きしめられる。
「誰かに見られたら嫌なのに何故そのような事をするんだ。張遼の馬鹿…」
「すまない、でも子孝も人が悪い。こんな姿でいたらまるで誘っているようにしかみえんぞ…」
「そんなつもりは私にはなかったのだが」
「だから私以外の者にその姿を見せないで欲しい…」
「わかった…これからは気をつける」
曹仁は張遼に抱きしめられながら顔を真っ赤に染めた。
そんな可愛らしい曹仁の姿に張遼は満足しながら、曹仁に口づけを落としたのであった。
終
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27th.Jul.2011
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