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数時間前―――



文句を謂いたげな男装名が渋々部屋から出き、オレが禁書を開いた時…それを見計らったように扉を叩く音が響いた。
扉の向こうに感じる…薄すぎる気配に警戒しながら扉を開けると



「!…お前…」

「久しぶりだな。ナルト君」



相変わらずの無表情でそう告げたのは、数年振りに見るイタチだった。
もう一つの気配は建物の外に居るらしい。



「良いのか、こんな処に居て」

「三代目が死んだと聞いて今里へ行ってきたところだ」

「…何かやらかしたのか?」

「サスケを誘き寄せる為に、カカシさんと少しな」



そう言って笑うイタチは以前と何も変わっていない。
更に聞けば、思惑通りサスケが追って近くまで来ているらしい。
暁で請け負っている尾獣集めの為にオレに接触する必要がどうしてもあったのだと言う。



「尾獣集めか…。物騒な事してんだな、暁も」

「ナルト君が九尾を持った時点で叶わぬ事だ」



鼻で笑った瞬間、サスケの気配を遠くに感じた。
イタチも同じだろう、目付きが変わる。



「ナルト君、頼みがある…」











鳥たちが忙しく飛び回っている様子を見つめる。
ナルトが語った、イタチとうちは一族の真実。
暁という組織に属し今も尚サスケを見守るその心境は想像し難いものだった。



「あの行為はサスケを強くする為。それも態々オレに許しを貰いに来てまでな。だから手出すなっつったんだよ」



衝撃的だった。
でも、もしサスケがこの事実を知ったら…。
そう思うと居たたまれない。



「…サスケを強くする為に、復讐心を煽るのは…間違ってる」

「それはあいつ等の問題だ」


「……。」



確かに、そう簡単に口を挟める問題ではない。
サスケを復讐から解放してやりたい俺にとったら、イタチの考えには賛同出来ないけど。
イタチの気持ちを考えたら、咎められはしない。



「これで納得したかよ」

「…。」

「同胞殺しにも一応、動機があるんだぜ」

「……そういう問題じゃねぇ」



サスケを見棄てた訳では無かった。
こいつには確かな理由があった。
…それなら、あの夜の同胞殺しにもちゃんと理由があったのだろうか。
(…もしそうだとしたら、)



「!」



丁度そのとき窓の隙間から入ってきた伝書鳩。
俺の肩に止まって挨拶をする鳥の足元の紙を解いて見れば、任務が三つ。
今夜中にナルトと分担しろと書かれてあった。
…三つを二人で分けるなら、必然的に一つと二つになる。



「任務か?」

「俺二つ、お前一つな」



早いもん勝ちだ。
一枚の任務依頼書を投げ渡し、後の二枚は掌の上で灰にする。



―――ガッガッ



「ふざけんじゃねぇぞオラ…!」

「…っ、殺す気か!」



凄まじい速さで飛んできたクナイやその他珍しい飛び道具を慌てて避ける。
腕輪を素早く外して窓から飛び降り、現れた銀鳥の背に飛び乗って素早く旅館から脱出した。



「…あいつ、手加減って知らねーのかな」



安堵の息を吐き、黒い羽織を被って面をつける。
三代目がナルトを可愛がる意味が、少しだけ解った気がする。
あいつが…ただ理由も無く殺戮を楽しめる様なイカれた人間では無い事が分かったから。





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