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「男装名くーん!ご飯出来たわよ!」

「おう」



まだ日は完全に落ちていないが、もう辺りは薄暗く、部屋の灯りが点けられた頃。
サクラに呼ばれ居間に戻ればドロドロのナルトとサスケが既に席に着いていた。
真っ先にサスケと視線がかち合い、不満気にフンと逸らされる。
まだ木登りが上手く出来ないらしい。



「はい、どーぞ!」

「いただきまーす!」

「ツナミさんとがんばって作ったんだから味わって食べなさいよナルト!」



夕食にがっつくナルトとサスケ。
こうして見るとサスケも餓鬼だ。
自らも席に着き、手を合わせて食べ始める。



「男装名君って、こうして見るとやっぱり男の子なのね!」

「…………、どういう意味?」



俺がサスケに対して思っていたのと同じことを言われた為に少しぎょっとする。
カカシがぷっと小さく笑ったのが目障りで睨んでやった。



「そ、その…!美味しそうに食べてくれるから嬉しくて!行儀が悪いって意味じゃないのよ!」

「超イイことじゃ!男は食わんといかん!」



タズナがご機嫌宜しくガハハと笑う。
別に食べ方が男っぽくったって何も問題ねーし。
サクラに笑われても別にいいし。
俺今男だし。

慌てて弁解してくるサクラに、ああそう、とだけ返しておいた。






*****







ただ真っ暗な空間
その中で魘される俺
雨が降っている



「……っ、また…龍神…?」



俺の背には“龍神”という妖魔が巣食う。
銀鳥とは違い、俺に懐くどころか俺を食い殺そうと足掻きまわる獰猛な妖魔。
妖魔はそれぞれ異なった欲求を持つとされ、最も厄介な“殺戮欲”を持つ妖魔が龍神―――俺の背中にいる奴。
故に龍神を身体に宿す俺は龍神に代わって血を求ねばならない。
血が足りなければ背にある龍の呪印が身体を蝕み、魂まで食い尽くしてしまう。



「……痛っ……!」



俺が知っている龍神の知識はそれだけ。
実際に見たことも、話をしたこともない。



「…名前さん」



右手に暖かい感触。
身体中の魂織が浄化されるような、澄みきった声。



「僕がついています。安心してください」



苦しかった呼吸が序々に落ち着く。
身体と精神の疲労から襲い来る睡魔に逆らえず、瞼を閉じる。







「!」

「どうした、銀弥」



はっとした瞬間、掛けられた声の方を見てみれば心配そうに俺を窺う銀鳥。
冷静になってきてふと手元を見れば、強く握られた刀。
そして辺りには幾つもの屍が広がっていた。



「……トリップしてた」

「殺しながらか?」



銀鳥の呆れたような、心配したような表情を見てバツが悪くなり死体を燃やす。
こいつらはガトーの手下。
本拠地を攻める前に、調べてみて解った他の組織の存在。
三代目から命令は受けてはいないが、どうせ本拠地も消すのだから俺がここで手を下しても恐らく問題はない。
再不斬は敗れ、これだけの手下を殺られたのだから、ガトーも警備を固めてくるだろう。





「………、白……」



思い出せた、夢の主の名前。
龍神の呪印が痛んだとき、いつもあいつが夢に出てきて…痛みを抑えてくれる。



―――白、

お前は一体誰なんだ。







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