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女の死体を焼却するナルトがそいつの使っていた笛を拾い上げ、物珍しそうに見ている。
生還を一度諦めたものの、ナルトに助けられ何とかこうして生きている。
サスケは男装名に任せ、こいつ一人だけ戻ってきたらしい。
チョウジ、ネジ、キバんとこにも影分身を送ったから無事だと言う。

…………最早何から突っ込んでいいのか分かんねぇ。



「あいつらは此処に来んのか?」

「ああ、もう三人は合流してる」

「そうか」



(め、めんどくせー…)
もうオレ何も聞かないでおこう。
めんどくせぇし、めんどくせぇ。
(―――でも、)
こいつが来なかったらオレは死んでいた。
他の皆も、―――…考えるだけでゾッとする。



「悪ィ、ナルト。オレ…」

「うぜぇから黙れ」



目をくれることもなく吐き捨てられた。
う、うぜぇって何だ。
こっちは真剣に自分の遂行力の無さに凹んでるっつーのに…。



「元々遂行不可能なんだよ!音忍五人相手にこっちは下忍が六人…、どう考えても無茶だ!」

「当たり前だ。元々任務の完遂なんか期待してねぇよ」

「な…っ」



(なんだそれ…!!)
ガサッと草陰からナルトの影分身が姿を現して、出掛かった言葉を呑み込む。
続いてキバ、チョウジ、ネジが気配だだ漏れで現れた。



「お前ら……」



よく無事でいてくれやがったな、と少し感極まっているとガシッとキバに胸ぐらを掴まれる。



「な、なん…」

「シ、シカマル!!聞いてくれよッ!オレ、オレ…、もう歩けねぇよッ!!」

「ちょっ…!」



必死の形相でオレにすがり付いて来るキバ。
その力が思いの外強くて、どうにかしろとチョウジとネジに視線を送るが、二人にも余裕は無さそうだ。
チョウジは息が切れすぎて顔も青い。
きっとチャクラが無いのに無理して走ったからだろう。
ネジは全身傷だらけで忍服もボロ衣の様になっている。



「ネジ、大丈夫か…?」

「聞くな」



この状況を知ってか知らずか「行くぞ」なんて歩き出したナルトを慌てて制止する。



「おいナルト!こいつらは休ませた方が…!」

「使えねぇならここで始末する。どいつだ?」



その場の空気が凍った。
クナイを手に取りくるくると指で回すナルトの目はマジだ。
さらっと吐き捨てた言葉は冗談ではないと否応なしに実感させられる。



「いねぇんだな。…行くぞ」



…こいつらが悲鳴を上げる理由が分かった。
下手すればあっさり殺されそうだ。
ふらつく身体に鞭を打ちまくる。
男装名の匂いを捉えたらしいキバに方向を確認しながら進むに連れ、ナルトから漏れる殺気が痛い…。
何に殺気立っているのかは知らないが、なるべく抑えて欲しい。
…恐ろしくて言えはしねぇが。



「キバ、男装名の近くに別の匂いはあるか」

「…ああ、一人いるぜ」



聞いた途端にスピードを上げたナルトに慌てて続く。
雰囲気からして男装名が危険なのは察することが出来た。



「男装名が危険なら、影分身だけでも先に行かせたらどうだ」



ネジが言う。
確かにそうだ、ナルトには影分身がある。



「遠距離から感知できる程あいつらの気配が濃ければな」

「…どういうことだ?下忍の男装名の気配くらい、暗部のお前なら分かるだろ」

「あ、暗部!?」



オレの声が森の中に木霊して思いっきりナルトに睨まれた。
知らなかったのかとでも言いたげなチョウジとキバの視線も痛い。
いや、だって聞いてねぇ!
…面倒で触れなかったのはオレだけど。
道理で、強いわけだ。



「あいつも一応、暗部の手練れだ。遠距離から気配を探られる様な雑魚じゃねぇ」

「マ、マジかよ…、あいつも暗部…?」

「男装名は何となく分かるかな。そういう雰囲気あったし」

「ああ、これで釈然とした」

「めんどくせぇぜ…」



ナルトが暗部だと知ったときの衝撃に比べれば、まだ男装名の方が呑み込みやすい。
こいつらも同じなんだろう。
そうかそうかと各々がブツブツぼやいている。



「口動かす余裕があるなら足動かせ」



冷たく吐き捨てたナルトが、またスピードを上げやがった。
口が動かせるからってそんな余裕ないっての!
キバの顔色も終わってやがる…。
きっと血が足りないんだ。



「は、走れキバ!」



ここで立ち止まれば殺される…!
チャクラの無い身体を根気で動かし、キバに肩を貸した。





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