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剣心(ついでに晃も)が剣客警官隊を叩きのめした翌日―――





「何だこの騒ぎは…。」

と晃が部屋から出てきて呟けば、

「きゃぁっv昨日のお方よv
 凛としていて素敵!」

女達が黄色い声をあげる。



――かと思えば、

「あの、これ!!」
「私もこれ!」
「受けとって下さい!」

多くの女子が恋文を手にして走ってくる。

「は、はぁ…。」

晃は断る理由が無い為に受けとると、あっという間に女達は顔を真っ赤にしつつ消えて行った。



「……………………。」
「あんちゃん、随分モテるなぁ。」
「女みたいな美貌で、苦労もしそうだな。」
「俺は羨ましいぞ、あいつ。」

晃が呆気に取られていると、昨日の騒動を見ていて入門しに来た男が沢山集まって晃に声をかけたりしている。






「…これ、どうしよう……。」

晃が大量の恋文を両手で抱えて困り果てる。





―――すると、剣心は来ていた男達を『昨日の騒動を見てここに来たのなら』と言い、帰してしまった。

まぁ、そりゃそうだろう。
剣心の事だ。
昔は人斬りをしていたのにもかかわらず、人斬りが大嫌い。
人殺しの剣術は絶対に教えない。
それがモットーだと言っても過言ではない。




――そして話しは戻り、

折角来た男達を帰してしまった剣心に薫は怒る。

「なんで帰しちゃうのよ!!
 とりあえず入門させちゃえばこっちのモンだったのにィー!!」
「薫。それ、立派な詐欺ですよ。
 それよりさ、この大量の恋文、風呂焚きにでも使う?」
「お…おろ?」




晃の最後の一言、『この大量の恋文、風呂焚きにでも使う?』というかなりすっ呆けたような言葉に、一瞬にして空気は冷める。


「……あなた、それ折角可愛い女の子達に貰ったのよ?」
「うん。確かに乳でかそうなのが沢山居たけど。」
「告白する時って、結構勇気がいるもんなのよ。」
「…と言われましても…。昔から沢山貰ってるし?」
「なんかムカつくわね。自慢に聞こえるじゃない。
 いいから、そんなに粗末にしないであげなさいよ。」
「はーい。じゃあ姉上のとこにでも送っとく。」


さっきよりは良くなったがこの空気、まだ良い物とは言えない。


「…お姉さん?」「晃殿、姉上が居たでござるか。」「ああ!そうなんだ!!」「晃、お姉さんに自慢するつもりでしょ?」
「いや?別に。
 姉上だって相当モテてるし。
 ちょっと前までは姉上京都で太夫やってたし。
 ここで言うと……花魁か。」

平然とした顔で誰もが驚くような事をすらーっと言ってしまう晃。
花魁。今で言えば、キャバクラのNo.1とでも言うべきか。…いや、それよりはずっと見た目はおしとやかだが。




―――そして、薫は。

「花魁、花魁、花魁……。」

『花魁』を連呼している。

「薫。頭大丈夫か。なんか剣心まで驚いてるし。」


そう、薫だけでなく剣心までも、明らかに驚いているらしい。

「あ、いや、晃殿、姉上を見つけたのでござるか?
 師の元を離れてすぐに?」
「ああ。たまたまだけど、意外に場所が近くてさ。
 師匠のところ離れてから割とすぐにな。
 …まあとりあえず、運が良かったんだ。」
「そうだったでござるか。」
「世の中は合縁奇縁だよ。
 俺、師匠のとこ家出して良かった。
 ずっとあのまま師匠の下に居ても、多分何も変わらなかっただろうし。」






その後師匠の下を離れたお陰で菓子の美味さを知っただとか、そこからまた話が進んで美味い甘味床がどこだとか、いろいろな話をしていると、いつの間にか橋の上を歩いていたのに気づいた。


薫が出稽古すると行って無理矢理連れて来られたのだ。
しかも話してる途中で突然。


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