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「…え、どうしたのその怪我。
 珍しいね、イルカがそこまでボロボロになるなんて」
「お前、昨日の騒動の時任務に出ていたのか?」
「え?里にいたけど」
「……は?」


美湯に護衛任務が言い渡されてから数日が過ぎた。
いつも通りに数日を過ごし、例えオフの日でも雨の日でも欠かさない修行をしていた。
今朝も演習場に出て修行をした。
今は、やっと通りを歩く人も増えてきた時間帯だ。



「昨日の騒ぎに気付かなかったのか?里にいながら?」
「騒動騒動って、何があったのよ?」

あれだけの騒ぎになっていながら気付かぬとは。
一般人が気付かぬならともかく、彼女は上忍ではなかったか。
なんだか、この先が思いやられる。



昨夜の事を教えると、心底驚かれた。
この能天気さに嫌気すら差してくる。

「へえ。そんな事があったとは。
 大変だったねーイルカも」
「もう俺は帰るぞ。本当はまだ安静にしていろと言われているんだ」
「うん。まあ頑張ってよ!じゃあね!」


ドン、と背中を叩かれて痛みが走る。
殆ど直して貰ったとは言え、大型の手裏剣が背中に突き刺さったというのに。
痛すぎる。そして彼女は己の痛みに気付く事なく去って行く。
また口から幸せが逃げて行った。












***












難しい顔をした火影の手には、一枚の紙。
そしてそれには、一人の少年が写っている写真と、その少年の個人情報が載っている。
この紙は、木の葉でも隠密性の高い資料となるはずのもの。

―――なのに…だ。



なのに………。



「あははははは!!何これ!!
 凄いねキミ!!勇気あるー!」

なんとも異端な目の前の写真に腹を抱える美湯の隣には、うーんと唸る火影。

なぜならばこの写真、ナルトがまるで歌舞伎役者のようなメイクをしているからである。
もう、ふざけてるとしか言いようがないような、そんな写真。
本人はふざけてると言うよりこれが格好いいと思ってそうしているのだろうが、あまりにも酷い。


「なっかなかいい顔が決まんなくてさ〜!それになるまで3時間も掛かっちまって!
 いやーでもさ、でもさ!アートっぽく決まったてーか、かっちょいーっつーか!」
「…撮り直し」
「えぇっ?!」
「撮り直し!」
「そんな事言うなってばよー!」

三時間も掛けてやっと撮れた写真を撮り直しと言われ、ナルトは一生懸命抗議する。

―――睨み合うこと約5秒。それでもダメだと判断したのであろうナルトは、新たな手段に出る。



「変化!」

―――と、煙の中から出てきたのは、金髪の髪の綺麗なお姉さん。
…なんともエロチックな格好をしている。すっぽんぽんだ。

「うっふ〜んv火影様ったらぁ〜v」
「う゛?!」

この術はもう、ある意味全ての男にとって一番危険な術かもしれない。
木の葉の頂点に立っているはずの火影が、鼻から大出血させて気絶してしまったのだ。
白目を向いて鼻血を流し、真っ赤になった顔。
椅子に座ったまま後ろへ倒れたこんな火影はめったに見れたものではない。
あまりのアホ面に隣に立っていた美湯は涙を流して笑い、机にしがみついている。

一方ナルトは、まさか憧れの火影がこれほどの状態になるとは思っていなかったようで、所謂ドン引きである。







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