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「そろそろだと思ってた頃だが…。とうとう来たか」


辺りが緊張の空気に包まれると、次第に霧が発生してきた。
この霧は恐らく、奴の仕業。

霧が濃くなっていくのに比例するかのように、サスケが震え出す。



「久しぶりだなカカシ。相変わらずそのガキどもを連れているようだな。可哀相に…また、震えてるじゃないか」


そう、見えない敵が言った途端、気付けば自分達は奴に取り囲まれていた。


「武者震い、だよ」
「やれ、サスケ」

サスケは恐怖ではなく、武者震いの方の震えだったらしい。
その証拠に、素晴らしいくらいの身のこなしで水分身も一気に片付けた。
動きの無駄も前より明らかに減っているし、少しスピードも上がっている。
修行の成果は十分に現れている。


再不斬と以前は暗部に扮していたらしい、白と呼ばれた面の子供が現れて一同は気構える。
どうやら、面の子供は背格好からしても声音からしてもナルト達とそう歳は変わらなさそうである。




「先手は打った。…行け」


再不斬が白に命令すると、一瞬で彼は消えた。
速い。サスケは彼の事が気に食わないらしく、応戦している。自分でやりたいらしい。
どうもすかしたガキは嫌いだと言うが…一体、サスケは誰の事を言っているのだろう。

一応速さではサスケが勝っているが、再不斬が言った”先手”が気になるところだ。
しかも、彼は、


「片手で印を…!?」

あんなもの、カカシですら見た事がないらしい。
片手で印を結ぶなど聞いた事が無い。



「秘術、魔境氷晶!!」

サスケの周りに現れた氷の壁。
氷遁とは特殊だ。あれは血継限界だろうか。
サスケの周りは三六〇度氷の壁で覆われてた。上もだ。
そして彼は、その鏡の中に入った。本当に血継限界らしい。
一見分身のようにも見えるが、投げられる千本は本物だ。
自在に鏡の外に出る事も無論可能だし、サスケの火遁も全く効き目が無い。どうやってサスケを助け出せばいいのか。
氷の中心で傷つけられていく彼を、黙ってみているしかないのか…?






ガッ…!



「………!?」


突然手裏剣が飛んできて、白に当たった。
飛んできた方向を見ると、ナルトが立っている。


「ナルト…!!」

サクラも感嘆の声を上げたが、どうも彼は堂々としすぎではないのか。
忍ならもっと静かに現れるべきでは…。
…しかも、あろう事か自分も氷の壁の中に入ってしまった。
氷の壁の中ならば、白は自由自在。
移動の速さは光の如くだし、氷も何度でも再生する。その上強固。



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