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「あー、やっとご飯にありつける。
 いただきまーす!」
「美湯、もう三時なのに、今日は昼飯遅いな。
 なんかあったのか?」
「…………。あ」








カカシの演習は何とか終わりをつげ、今は解散している。
一時は忍者失格と言い渡された生徒四人だったが、全員見事に合格した。
明日からは本格的に下忍としての任務が始まる。
皆大層喜んでいたし、サスケも合格してほっとしていたのも顔に出ていた。割とまだまだ素直なやつだ。




解散してバラバラになるなり変化を解いたが、またすぐにカカシにばったり出くわしてしまった。
ちょっとした小芝居を打って、さも今日初めてあったかのように挨拶した。
そして何を言ったら良いのか分からなかったので、とりあえずご飯を食べようと言ってみたのだ。
だが、通常自分の昼食時間は丁度正午の時間帯。今日は明らかに遅すぎる。
今カカシが特に何かを疑っている様子はないが、気を緩めたら勘付かれるかもしれない。
奴は聡い。油断は禁物だ。
絶対に面白いところで正体を露にして度肝を抜かせてやる!と、心に決めているのだ。
いつもはあまり驚かない人を思い切り驚かせるのはワクワクするもの。
この数日、ずっとどうやって驚かしてやろうか。そればかり考えている。




「あー…、えっとね、死体を繋いでたの。
 それ終わらせてから別の事したくて」
「…あ、そうなの」



不謹慎な話題だが、起爆札でバラバラになった死体を繋ぎ合わせる作業は、医療忍者ならよくやることだ。
いくら忍とは言え、食事中にこんな話題は避けたいだろう。
我ながら上手い言い訳を思いついたものだと思う。




「そう言えば、珍しいことに俺が明日から先生やることになったんだけど」
「へえ。珍しいっていうか、カカシが先生とか前代未聞でしょ?」
「ま、そうなんだけどね」
「………」



か、会話が続かない!
いつもはこんな事気にしないし、気まずい空気になどならないが、如何せん今日は状況が違いすぎる。
明日からカカシが先生をやることになったのは勿論知っている。
カカシの生徒の中に自分もいるんだもの。
ヘタな事を言ってしまえば、自分の思惑が消えてしまう。
慎重に発言せねば。










「あのさ、サスケの事なんだけど」
「…サスケ?」


彼にしては珍しく、声音も表情も深刻だった。
サスケの話と言えば、やはり大蛇丸だろうか。
自分が変化して班員に加わっている事は知っていなくても、大蛇丸のことくらい知っているはずだ。
そう思いつくと空気が急に張り詰めた気がした。
箸の動きも自然と止まる。
…にしても、カカシがマスクを外しているところを久々に見た気がする。
マスク常備装着の彼は、風呂の時はどうするのだろう。さすがに外すだろうか。





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