人間という生き物は、予想外の出来事に出くわすと思考回路が停止する、又は考えることを放棄してしまう生き物だと、俺は思っている。
目の前に広がる光景が未だに信じがたいものであり、予想外の出来事で、俺はどうやら前者の用で今頭の中は真っ白だ。仕方がないだろう、しょうがないだろう。この国の王であり俺たちの恩人であり俺の尊敬するひとが、何故か俺の恋人と鉢合わせになっている。
もともと今日来ると言い出したのはジュダルの方で、それは前回これまた勝手にシンドリアに入ってきたジュダルが勝手に取り付けた約束である。そんな物放っておけばいい物の、それでもやはりジュダルの指定された場所にいつも来てしまう俺も俺だが。しかしそれは俺が心のどこかで「ジュダルならシンドバットさん達に見つからない」と、思いこんでいたからであり。しかしいくらジュダルが「マギ」だからといってシンドバットさんはあの七海の覇王だ。過去の浮かれた自分の頭を呪った。よく考えれば分かることだろうが。しかし俺がどれだけ考えたって今のこのシンドバットさんとジュダルがにらみ合っているという自体に変化はない。俺が来た頃にはもうこうなっていたから何があったのかは知らない、というかこの二人が会ってしまったら何か無い方がおかしいのだが。しかしシンドバットさんはいつも通りの緊迫した顔だが、いつもは余裕な表情を浮かべているジュダルまで深刻な顔をしているのは珍しい。いったい何が、と考えていると、ジャリ、とシンドバットさんが地面をならす。

「ジュダル,おまえの言いたいことも分からんでも無い。だがこれは譲れん」
「俺は馬鹿殿の言うこと自体理解に苦しむけどな」

そういってお互いどこか不穏な空気に包まれ、いけないと思った俺は慌ててジュダルの前に立って弁解を試みた。

「ま、ってください、あの、これは」

…しかしこの後シンドバットさんの口から予想外の言葉が出てきて、俺の思考回路は又停止することになる。

「お前はジャーファルが笑ったところを見たことが有るか?無いな?あの笑顔に勝る物はまず無いと思え。あれは…聖母だ。」
「おいおい馬鹿殿ついにめんたままでイカれたのかあ?お前本当のアリババクンの笑顔をみたことねーんだろ。」
「いいや。確かにアリババ君もかわいいが」
「はあ!?なにいってんだよ!!」

俺が状況について行けない中,どんどんと俺の知らない話が進められていく。そして俺が質問しようとした、まさにそのとき。


「「俺の嫁が一番かわいいにきまってんだろーが!!」」

俺は全てを把握した。

しかし俺が唖然としている内にもどんどんと目の前の言い合いはヒートアップしていく。

「おま、普段はあの鬼畜っぷりで仕事しろ仕事しか言わないジャーファルが俺に「まあがんばったんじゃないですか?」って言う時のデレっぷりはたまらんぞ!?」
「俺のアリババだってなあ、俺が毎日来てはぐちぐち文句言うけど、俺が次の約束取り付けたらだめだめ言いつつ結局は俺と会っちまうんだぜ?流されやすい奴というか…かわいいだろ?」
「何を、ジャーファルは」
「いやいやいやいや何してんすかあんた達!!」

慌てて止めに入るとジュダルはいつもの嫌な笑みで「よおアリババクン」と言って肩を組んできた。それを多少乱暴に外してから俺はシンドバットさんの方に向き直る

「っつーかシンドバットさんも、て、敵が来てるのになんて会話をしてるんですか!!」
「いやあだってジュダルが「アリババクンは世界で一番かわいい」と言うから…」
「なにお前そんなこと言ったの!?」
「だってよお、この馬鹿殿があのジャーファルがジャーファルがってうるせーからよお」

面倒くさそうにそういったジュダルは廊下の手すり部分に座り込む。先程いっていたジュダルの言葉が的を射ていて、しかもそんな馬鹿みたいな事を言われて恥ずかしいやらなんやらで顔が熱くなる。それを頭を左右に振ることで誤魔化して、俺はジュダルに向き直る。ジュダルは足をぷらぷらと揺らしながら此方を見ている。にやけた面で。

「ほら、俺がさっき言った事も図星だろ?」
「なっ!?」
「だからそんな真っ赤なんだろ〜?可愛いねぇアリババクンは。おら馬鹿殿、どうかんがえてもアリババのが可愛いだろーが」

ジュダルが挑戦的な目でそんな事を言う。するとシンドバッドさんも「何を!!」と何故か対抗的な炎を瞳に灯した。

「ジャーファルはなぁ、昼間は俺に厳しい政務官だが、夜になると可愛い恋人になるんだ・・・俺に「まぁ・・・ご褒美です」なんて言って恥じらいながら官服を捲るんだ・・・」
「はぁ?ンなの只のビッチだろ。アリババなんか、俺が欲しいくせに恥ずかしいから言えなくてチラチラ此方見てくるんだぜ?経験は浅いくせにえっろい目してんだよなぁ」
「いや、色気なら明らかにジャーファルの勝ちだ」
「んだと!?」
「ちょおおおおおおおお!?な、なんて会話をしてんだよあんたら!!!!!!」

あまりのマシンガントークに認識が遅れてしまった。なんて会話を夜中の廊下でしているんだこの人たちは!!!!そう思い慌てて止めに入るも、ジュダルに「うるせぇ!!」と言われて、シンドバッドさんにも「止めないでくれアリババ君」と言われてしまい、どうしようもない。が、そんな俺をこの二人が待ってくれるわけでもなく、下らない言い合いはどんどん酷い方向に進んで行き。

聞くに耐えず、しかし止める術も持ち合わせていない俺は、ジャーファルさんを呼びにいくためにその場を飛び出した。



他人の芝より自分の芝
俺の嫁が一番可愛い!!





以下返信



わるさー様、本当に、本当に遅くなってしまって申し訳ありませんでした・・・!!ジュダアリ+シンジャで嫁自慢とのことで、ひたすらジュダルちゃんとシン様に嫁語りをさせました。この二人は馬鹿みたいな嫁自慢をしていれば良いと思います!!

書き直しはいつでも受け付けておりますので!!

それでは、5000hitのフリリクに参加、ありがとうございました!!