DV/赤也夢/グロなし








「なんか増えてねえ?」
「はい?」
「腕の傷と顔の痣」


丸井先輩に呼び出しくらってなんだと思えばいきなりこれ。目的地につくなり俺の腕をしげしげと見ては顔をしかめる。


「そっスか?」
「だってこれなんだよい」


腕をグイッと引っ張られて治りかけの赤みかかった傷に指をさす。…あんたには関係ないっつーの。先輩から拒絶するように腕を自分の後ろに隠した。


「階段から転んだんスよ」
「階段って…。これどう見ても刃物で切った跡だろい!?」
「もうこの話はいいでしょ先輩」
「よくねーよ!!」


いきなり声を荒げた先輩。もうちょっと声おさえて下さいよ。周りの通行人みてるじゃないっスか。てかなんでそんな必死になるの?ほんと意味わかんね。


「…お前それDVだって」


先輩から発せられた言葉は意外なものだった。…DV?ははは、丸井先輩笑わせないで下さいよ。


「何いってるんスか、そんなんじゃありませんよ」
「馬鹿いい加減に気づけよ!」
「用がそれだけなら帰りますよ」
「おい赤也!!」


丸井先輩に呼び止められているにも関わらずシカトして背中を向けて歩きだす。


「なんで別れないんだよ…」


先輩には分かるもんか。これ以上なにも話したくなくてわざと聞こえないフリをした。








ドンッ…!部屋に鈍い音が響き渡った。


「ぐ…ッ、」
「赤也が悪いんだよ、あたしの言うこと聞かないから」


家に帰るなり容赦なく殴っては蹴ってくる俺の彼女。いってえ。この前の傷もまだ治ってねえってのに。痛さに顔を歪めていると頭をガッと捕まれて無理やり引っ張られた。


「今日はずっと家にいるって言ったよね?」
「…う、ぁ…ごめ、」
「あたしじゃない違う女と会ってたんじゃないの?ねぇ?」
「ち、が…」


否定しようとすれば言うなといわんばかりに思いっきり腹を蹴ってきた。その反動で壁にあたり体が悲鳴をあげる。うっ…と嗚咽をはき息苦しく肩で息をする姿は彼女からみたら滑稽かもしれない。

彼女の嫉妬も最初は可愛いものだった。ヤキモチ妬かれるたび愛されてるなと実感していた。だけど次第にそんな嫉妬もだんだんエスカレートしてきていつの間にか手をあげるようになっていた。でも彼女は決まって最後には必ず泣いて謝ってくる。「赤也、ごめんね」「また手あげちゃった…」何回も繰り返される謝罪の言葉と涙でぐしゃぐしゃになった顔をみたらどうでもよくなったっつーか、なんだかホッとした。それと同時に乾いた笑みがこぼれて一気に体の力が抜けた。


「赤也ほんとうにごめんね…」
「…へーき」
「違うの。あ、愛してるから…」
「ん…」
「だから、だからわたし…」
「もういいって…」



俺も愛してる。


優しく抱き寄せて小さく囁いた。さっきなんで別れないって丸井先輩聞きましたよね?決まってるじゃないッスか。好きだから、愛してるから別れたくないんすよ、それじゃダメですかね?丸井先輩。

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