01
―――20XX年現代
今日は土砂降りの雨が降っている。外は歩く人など少なく、ただ車が排気ガスを出しながら走っているだけだ。
ジメジメとした日は皆何故かどんよりと静かになる。
だからこそ、
「…暇」
そう、暇。
私、笹川美緒は極普通の高校生!と、言いたい所だけど見えない物が見える。つまり幽霊が見える非凡な高校生です。
最近、土砂降りの雨が長く続いているし、楽しいと言えるテレビ番組もない。
父は除霊に北海道まで行っているし、母は霊媒を頼まれて沖縄。そして留守番な私。
唯一の話し相手と言えば、
《美緒、溜め息は幸せが逃げるって昔から言われてるんだから止めとけ》
「…愁」
幽霊とも神様とも言えない私の式神だ。
「好きで溜め息はしてないもん。暇なんだもん!」
《ハハッまあ確かにこんなに雨が続くと外にも出れないし暇になるな》
「んー!何か起こればいいのにー!!」
とか言ってみるけど、そんな簡単に何かが起こるはずもなく、美緒は机に項垂れる。
それを見て愁は首を傾げ、何かを考える素振りをする。
《何か…と言えばあれ、だな》
「…あるの?」
《実は直樹(父)が小さい頃から神隠しが近所で起こっていたんだ》
「お父さん?神隠し?」
《あ、ほら、俺って美緒の式につく前まで自由奔放に生きて来たから直樹は小さい頃から見てきたんだよ》
たまに悪戯してな、と笑いながら言う愁に美緒は父に同情した。
可哀相に悪戯されて。
「神隠しって言うのは?」
《俺の知る限りでは森の中の洞窟に入ると人が消えて行くらしいんだ。直樹も行ったけど消えなかったから行方不明なだけだと判断したらしい》
「へー…」
《…だけど奇妙なんだよ》
「何が?」
《消えて行った奴の共通点が[女][10代][髪が長い]…そして、これは後々手に入った情報だが…》
「なに?」
《[霊感]》
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