04
『あとは自分で決めろ、か』
昼休み、そろそろ授業が始まる時間にアツヤは屋上でボンヤリと景色を見ていた。所詮、サボりと言うものだ。
『…はぁ、どうしろってんだよ』
世界に選ばれたなんて夢みたいだ。もちろん、行きたいに決まってる。
だって、サッカーで頂点に上がるのは俺の昔からの目標だったんだから。
でも、そこには士郎もいる。昔からお節介でドジでいつもニコニコしていて、自分より先に他人を優先する大馬鹿者。でも唯一血の繋がった大好きな兄貴。
……俺は何を悩んでるんだろう。
これじゃ、エイリア学園と試合していた時の士郎みたいじゃんか。
何を恐れているんだ。
士郎に会う事?
先に完璧になった士郎…
『……ああ!くそっ!!』
ココロの何処かで置いてかないでって泣き叫んでる自分がいる。
ずっと皆死んだ時から思ってたけど、本当は士郎は生きてて、でもやっぱり置いて行かれた感がある。
…置イテ行カレタクナイナラ、行ケバイイジャナイカ
『!!』
心の奥底から声が聞こえる。この声、何処かで聞いた事があるけど、誰だろ?
『っでも、怖いんだ』
君ハ恐レスギナンダヨ。
ホラ、簡単ニ考エテゴランヨ。
君ガ本当ノ本当ニ望ンダ完璧ッテ何ナンダイ??
『本当に望んだ完璧?』
俺が本当に望んだ完璧はあの日、あの事故が起きる直前に士郎と約束した事だ。
『俺がFWで攻める!』
「僕はDFでゴールを守る!」
「『二人で完璧になるんだ!!』」
『あ…っ』
そうだ。あの時、俺は士郎と二人で完璧になるって決めたんだ。
ソウダ。二人デ一ツ。目指ス場所モ一緒ダッタハズダ。違ウカ??
声の主は俺に一つずつ何か忘れかけていたパーツを繋げてくれている。
「ねぇ、だったらさ!二人で世界も行けるよね?」
『もちろん!俺、兄貴と世界に行く!!』
「『約束!!』」
『……』
約束シタンダロウ?一緒ニ世界ニ行クッテ…
「それは頼もしいな。
俺は二人の活躍をちゃんと見てるからな!」
「ありがとう、お父さん!」
『ぜってぇだからな!!』
「おう!!」
ああ、嗚呼…
この声はあの人だ。
何で忘れかけてたんだろう。俺らを支えてくれたのに。俺らに目標を作らせてくれたのに。
『ああ…そうだった。俺は士郎と約束したんだ。世界に行くって』
ヤット分カッタノカ…
ソレデ?アツヤ、オ前は士郎ト共ニ世界ニ行クノカ??
確かにまだ心の何処かで士郎に会うことを恐れている自分がいる。でも!
『行くって決めた!!』
………
『二人で!いや、チームの奴らとぜってぇ頂点まで登りつめてやる!!』
ソウカ。
ジャア、俺ハ見学サセテ貰ウヨ。頑張ッテコイ。
『ああ!見てな!!
父さん…!』
そういうと、その声の主、父さんは小さく笑ったような気がした。
さっきまでモヤモヤとした鉛のような気持ちはスッキリとして、何か勇気をもらったような気がした。
『よっし!!』
アツヤは立ち上がり自分の頬を叩くと、余程痛かったのか顔を歪ませる。だが、耐えてニヤリと笑った。
そして、屋上から出て行った。
誰も居なくなり静寂した屋上に、うっすら一瞬だけ二人の男女の姿が浮かび上がった。
悩んだ結論(待ってろよ!兄貴!!)
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アトガキ
あーはい。初アトガキです。
こんな駄作を読んで下さってる読者の方々、ありがとうございます。
グダグダ過ぎて、展開が早いなとは思いますが、初心者なため、お許し下さい。
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