03
『はよー』
次の日、朝練のため早く学校に来ていた。
昨日渡された封筒は開けず、机の上に置いたままである。朝、起きてあった時は夢じゃないことに悲しく思った。
まあ、そんなこんなであれだ。何時もは朝練をも遅刻する俺だけど、今日は早くきた。チームメートも凝視している。
失礼な奴らだな…
まあ、俺が用があるのは一番奥で着替えている、我等がエース神谷五月だ。
扉を閉めてスタスタと神谷の隣に行く。まあ、隣が俺のロッカーだからっつー理由もある。
『さーつきちゃん』
「誰が五月ちゃんだ、誰が」
口調は怒っていながらもポーカーフェイスを崩さない神谷が振り向いた。うん…今日もクールだ。
『じゃねぇ、神谷。昨日、俺の所に変なじじぃが来たんだ。知らないはずねぇよなぁ??』
「知らねぇなぁ」
『おい、コラ』
肩をガッチリ掴んで聞くが妖艶な笑みを浮かべて答える。ちょうど、入って来たマネージャーがその笑みを見て、顔を真っ赤にしているのが視界に入った。
モテる奴うぜぇ…
(※実際は肩を掴んで今にもキスしそうなくらい近い事に悶えている=腐女子)
マネージャーの様子を見た神谷は苦虫を潰したような顔をして、肩から俺の手を離した。
そして、落ち着かすように軽く二回、俺の頭を叩く。
「まあ、朝練が終わったら教えてやるよ」
「何を!!?」
「黙れ腐女子」
この二人は幼なじみらしいけど、扱いが色々と酷かったりする。
取り敢えず、俺も着替えて朝練に取り掛かった。
朝練が終わると、皆一斉に部室に駆け込み、急いで着替えて教室に向かう。
俺らサッカー部はギリギリまでやらなきゃいけない程、弱いチームってワケだ。
そして、俺と神谷も2-Aの教室へ向かう。
朝練が終わってから話すって言ったのに結局まだ話してない。SHRが終わって、俺は神谷の所に行った。
『神谷ー、話すっつったよな?話すっつったよな??』
「あーはいはい。分かってるって、話すから離れろ。アイツが見てる」
え?今の体制?それは来たと同時に後ろから抱き着いたんだ。うん。それだけ。まあ、取り敢えず離れたけど…
アイツって誰だ?
『で?昨日のじぃさんが言うには世界とか何とか言ってたし。神谷、外国に行くとか…ホントか?』
「本当だよ」
『っ即答、だと!?』
「誰だよお前…」
おっと、考えるそぶりや迷う事なく淡々と答えるから思わずキャラが変わってしまった…。
ナイスツッコミだ、神谷←
『マジか…だけど何で急に?じぃさんと関係あんの?』
「……あのさ、アツヤって家族がいないって言ってたじゃん?」
『…ぁあ』
「アツヤの話しは残酷だった。家族が、兄弟が亡くなって、一人ぼっちって話しだったからな」
『うん…っでも!』
「違った…だろ?」
『ぇ?』
何で神谷が違うって事を知っているんだろう。生きてたなんて一言も言ってないし…
神谷がもしテレビで士郎を見たとしても、俺らは二卵性。分かるはずがない。
「吹雪士郎。お前の兄貴は生きていた。違うか?」
『ちが、わない』
神谷の優しげな声と言葉に俯き、頭を横に振る。
「会いたくない?」
『…会いたい』
「会うのが怖い?」
『う、ん』
「それはどうして?」
『っだって、士郎は俺を死んだって思ってるんだよ?何を今更…っぃ』
「おバカ」
涙を堪えながら言うアツヤに神谷はデコピンを食らわせた。
「何、逃げてんだ?アツヤらしくねぇなぁ…
会いたいなら、ちゃんと会えば良いのに…じゃないと後々、後悔するよ?」
『…うん』
「分かればいいんだよ。まあ、後は自分の判断次第だけどな」
神谷は頷いたアツヤに満足そうに微笑み頭をまた撫でた。
あれ?何か、さっきから餓鬼扱いされてねぇか、俺!!?
「さて、そろそろ本題に入ろうか。アツヤが言ってるじぃさんって、響木正剛さんの事だよな?」
『あ、うん。確かにそう名乗ってた』
「響木さんは昔、イナズマジャパンの選手だったんだよ」
『……え"?あのじぃさんが?俺、めちゃくちゃぼろくそ生意気な事言ったよ!?』
「まあ、その人が俺やアツヤを選ぶって事はその素質があるって事だ。」
『まあ、サッカーは大好きだし』
「それに、俺の従兄弟が響木さんが監督していた雷門サッカー部の選手でさ。それで、ちょっとだけ知り合ったんだ」
神谷は懐かしそうに従兄弟である水色の髪の少年を思い浮かべた。
「それにさ、俺が外国で選手として出てさ、アツヤがいるイナズマジャパンと試合がしたいんだ。」
『は?』
「まあ、それが本音、かな」
『でも、俺は』
「分かってる。アツヤが嫌なら行かなければいい。そのかわり、絶対にイナズマジャパンに負けないから」
…何だ、この脅しらしい言葉は
「もし、やるんだったら言ってよ。集合場所まで着いていってあげるから」
『?神谷、自分が集合に間に合わなくなるんじゃない??』
「ああ、大丈夫だよ。俺は少し先だから」
だから安心して、頼ってこいよ
『……ありがとう』
「ん、どういたしまして」
エースは良き親友(お母さんみたい).
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