06



あの一件から約二週間が経った。

あのあと保健室に行くと、捻挫をしていたため軽い応急措置をした。幸い軽症だったため、もうペンは持てる。

それまでの授業のノートは斎藤が来る前に仲が良かったクラスメート、杵築に写させてもらっている。


「うあー、やっと書き終わったー!」


丁度いまノートの書き写しが終わり体を伸ばす。8教科分、二週間分のノート…長かった。


「お疲れさん!ほれ、頑張ったからチョコをあげよう」

「ありがとー。疲れた時は甘いのが一番だねー」


ノートを返し、チョコもらうと早速口に含む。

斎藤と関わらなくなったことから、クラスメートとの距離が短くなり、これまでの謝罪と、これからの協力を申し出された。
というのも、確かに斎藤と関わらなくなったが、それはほとんど一方的で、斎藤からは絡まれるからだ。
なんでも、今までの謝罪の代わりにこれから絡まれたら助けてくれるという。

「斎藤のおかげで団結力が強くなった」とは誰が言ったのか斎藤以外のクラスメートの団結力は本当に強くなった。
俺も仲良くなったことから、ほとんど素で話すようになった。

また、噂が広まったのか、親衛隊からは何も言われなくなった。


「そういや、来月からテスト始まるよな…」

「…やめて、俺今回は本当に自信ないから。次こそ負けるから」

「ごめんだけど、勝つわ」


そういうのも杵築は俺に続く次席だからだ。中学時代でも、いつも僅差で勝っていた。しかし、今回は負ける自信しかない。
杵築も申し訳なさそうに言うが、それも実力の内だ。今回のことがあったから、と人のせいには出来ない。


「ノート書き終わった所で悪いけど、宮下と杵築。ちょっと、分からない所教えて欲しいんだけど」

「おう、いいぜー」

「いいよ、どこ?」


タイミングを見計らって質問に来たクラスメートに返事を返しノートを覗けば、他の人達も自分もと寄ってきた。教えることで自分も勉強になるし楽しい。

…ああ、平和っていいな。

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  モドル

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