08
「でも、そんな誰かが悪さをしそうな道具は危険だろ?」
「確かに…」
そんな機械があったら、過去の物を悪用しようと言う奴らが現れるかもしれないから危険だ。
「それで菖蒲はその機械を三つだけ造ったんだ。一つは自分に、一つは俺が我が儘を言って、一つはオークションに出したんだ」
「我が儘って…ちー。お前、俺を利用して会長に告らせようとしている事は俗に言う悪用って奴と一緒じゃねぇの」
「菖蒲はその位はいいんじゃない?って言ってたから大丈夫だ」
何が大丈夫だ!と言ってやりたいけど、卒業から会長に会うことの出来ていないちーのために頑張っている俺が言えた事じゃない。
此処で何も出来なかったら俺もちーみたいにするかもしれないし…
「オークションでは高値で売れたらしいよ。何でも大企業の若社長が買って行ったとか。誰か知らねぇけど」
何に使うんだろうな、と呟くちーにちーと同じ目的かもな、と返した。
「俺と同じ目的ってのはないだろ。大企業の人だから誰でもコロリといくだろうし」
「俺はいかねえけど」
「知ってる」
俺だもん、と笑うちーに俺も笑い返した。
話してる間に終わって綺麗になっていた皿をちーがお風呂に行っている間に洗い流した。
時間が流れるのは早いものだ。ちーが来てから、もう二週間は経とうとしている。
卒業まで、あと半年も切ってしまった。
「早くしなきゃなぁ」
分かってるのに出来ないこのもどかしさと言ったら…
「…はぁ」
ため息がでる。
モドル