05
授業が一通り終わり、放課後になった。
「じゃあ、俺は部活に行くから!」
「おー。部活頑張れよ」
皐月は終わりのチャイムが鳴ると、すぐに鞄を持ち俺にそう伝える。
軽く返事を返せば、ニカッと笑って走って部室に行った。
「さて、俺も帰るか」
ぐっと背筋を伸ばすと立ち上がって何気なく辺りを見渡す。
「っ!」
一番後ろの席にはまだ会長がいて、ゆっくりとした速さで荷物を片付けている。
思わずじっと見ていると、それがいけなかったのか…いや、それがいけなかったんだろう。
会長と目が合った。
「あ…」
「…」
目が合った事に驚いていると会長も同じように目を軽く見開いていた。
「あ、あー…」
「…」
目が合ったままフリーズをしているのは、とても辛い。てか、恥ずかしい。
取り合えず何かを言おう。取り合えず何かを言おう!取り合えず何かを言おう!!
「…一緒に帰らねぇ?」
「は?」
「……ぁ」
うわぁああぁああ!!
何言っちゃってんの俺!?馬鹿じゃないの!!?
天下一の会長様に何様だよ俺ぇえ!!!
「…嫌ならいいから」
内心混乱をしつつ冷静を装って言うけど、少し冷たい言い方をした気がする。もうダメだ。俺馬鹿だ。
「……いいのか?」
「…は?」
「だから、一緒に帰ってもいいのか?」
少し困ったように問い掛ける会長に胸がキュンとした。何か、今日の会長可愛いです。
「会長が大丈夫なら、だけど」
「今日は別に特別な用事はないが…」
「あ、じゃあ帰るか」
「そうだな…」
「……」
あっさりと了承された俺は冷静を今だに保ち、内心困惑と嬉しさを混合させながら教室を会長と出た。
モドル