04
「…はぁ」
あれから数日が経った。毎日毎日、ああしろこうしろと言われ続けてチキンな俺は実行出来ず、毎日毎日飽きねえのかって程、ちー(未来の自分)に叱られてる。
ちゃっかり「ちー」とか呼んで親しくなったけどさ。
「どーしたんだよ、千里。溜め息付くと幸せが逃げっぞ?」
「んー。ちょっとなぁ…」
友人である斎藤皐月にヘラリと適当に笑みを浮かべてごまかすと、「ふーん。よく分かんないけど、何かあったら俺に言えよ」と言ってくれた。
お礼を言い、良いダチを持ったなぁと思っていると視界の中にあの人が入ってきた。
「ーっ!」
「あれ?会長じゃん。授業受けるとか久々じゃね?」
「あ、ああ。そうだな…」
久々過ぎにも程がある。夏休みに入る前から生徒会が忙しいらしくて教室に顔を出す事がなく、会っても食堂ぐらいだった。
そこに入って告白しろと言うちーには悪いが入ってしまえば親衛隊から目を付けられると言う制裁が待ち構えてしまう。だから実行出来ないんだ。
席に座って適当に教科書をめくる会長を横目でみる。
「会長も頑張るねー。書類とか多いと言うのに全て終わらせてまで教室に来るんだから。俺だったら両立出来ない」
「だから信頼されてるんじゃね?」
「…まぁ、そうだな」
俺には無理だけど…、と呟く皐月に苦笑しつつもチャイムが鳴ったため話を中断して自分の席へと帰った。
俺の席からは会長は見えない。席は縦6列で俺は前から三番目で会長は一番後ろだ。
まあ、会えただけで今日はいいかと思いながら、お経のように生徒に説明する教師の話しをノートに写した。
モドル