04
転入届も出した事だし、俺は部屋に戻った。部屋は荷物がなく明日着る衣服と食べる食材があるだけだ。
理事長の事だから理解して受理してくれると思ったから、あらかじめ纏めて置いた荷物は先に家に送っていたのだ。
いらない物となれば、この学園の制服ともお別れだ。
嫌な思い出しかない制服を持って行っても仕様がない。
今日は金曜日だ。制服を着るのは今日で最後だった。
はぁ、とポッカリ空いた広い部屋でため息をつく。
この半年間がとても長く感じて、明日で終わりを告げる事にホッとした。
と同時に違和感も感じた。
「これで、いいのかな…」
スッキリしていない心に疑問を口に出す。何かが足りない気がしてモヤモヤとした感情が心を占める。
よくよく考えれば、何で俺ばかりがこんな目に合わなきゃいけないんだろう。
そんな事を考えても分からないし、考えるだけ無駄で自分が馬鹿馬鹿しい。
自分に嘲笑して、今までの疲れた体と心を癒すように風呂場に向かった。
風呂から出ると、夕食を作って食べて、ただボーッと部屋を眺める。
「この部屋も、今日で最後かぁ…」
元々広かった部屋が更に広くなって余計に寂しさを感じさせる。
そう言えば、会長と付き合っていた時、よく部屋に来て話しをしていた。
一緒に俺の作った料理を食べてた事もある。会長はハンバーグが好きでよく作っていた。
ただ静かに過ごした日もある。傍にいるだけでも幸せで、会長に頭を撫でられるのが好きだった。
迎えにも来てもらったり、幸せを感じる事なんて沢山あった。
幸せを感じる事なんて、
いつの間にかなくなっていた。
「っ駄目だ…」
そんな事を考えたら胸がズキズキと痛む。もう会長との事なんて忘れてしまおう。何もかも、全部。
無理矢理、会長を頭から振り払おうとベッドの中に潜り込んだ。
モドル