02
「俺はお前だ」
「俺が嫌いな人物ランキング一位嘘つき、二位裏切り、三位自己中」
「知ってるけど」
「……」
真顔とも言えない無表情な顔でサラリと答える男は自分とよく似た顔をしている。
仮に俺だったとしよう。絶賛成長期の172cmの俺に目の前の男は175cm程。
…仮に俺だったとしよう。認めねぇぞ、俺は。25の歳と言う男は俺より8歳も年上。
仮に俺だっ(以下略)。対して目線が変わらない事はとても有り得ない。
仮に(以下略)。
「…嘘だ」
「認めたくないのも分かるが事実だ。受け止めろ」
哀れんだ目に若干涙が滲んだが気のせいだろう。
「仮に俺だったとして何しに来たんだ?」
「仮じゃないってば。俺はお前にして欲しい事があってワザワザ来たんだよ」
「はぁ?」
「社会人になって後悔したんだよな。あ"ー!何であの時の俺はちゃんと出来なかったんだろう!!?ってな」
「何それ。自分が悪いんじゃん。俺に頼らないでよ」
「いやいや、だから俺はお前なんだってば。お前が後悔する事になるんだぞ!?」
「あー、はいはい」
…分かってんの?と呆れたような顔で睨まれた。
しょうがないじゃん。そんな信じ難い漫画のような展開なんて体験した事ないんだから。…体験してたらある意味すごいな…
「で?俺にして欲しい事って?」
「直球に言うなら会長に告れ」
モドル